ニャンコな虎たち

2009.10.18の記事より

先週、国立博物館で、「皇室の名宝展 1」を見てきました。お目当ては、伊藤若冲の「動植綵絵(どうしょくさいえ)」でしたが、そこで、円山応挙の旭日猛虎図をみて、「にゃんこのような虎」(虎の実物を見る事ができなかった画家達が想像や資料から書いた虎図)のかわいさにうたれました。今まで、幾つか「どこかへんな猛虎図」を見たことがあり、記憶の整理のために、ここに実際に、私が見た事がある、「へんな虎たち」をまとめてみようと思いました。

下の図は、今回見た、円山応挙 旭日猛虎図(1787)です。虎っぽいのは毛並みだけで、顔つきがにゃんこ的。
虎
そして、下の虎は、有名な長沢芦雪(蘆雪)の虎図(1786)。めっちゃ、にゃんこ似です。串本(和歌山)の無量寺にある襖絵です。襖4枚分なので、かなり大きな作品でした。因に芦雪は応挙の弟子です。
虎
下の絵は、これも長沢芦雪(蘆雪)の虎。前脚が変でいいです。
虎
下の虎は、伊藤若冲の虎です。この中で一番変というか眼が逝ってますね。夜中にふと目が覚めたときに、この虎が枕元に立っていたら、非常に嫌ですね〜。もうすこしグラフィック度を高めるとチェコの絵本なんかに出てきそうと言えなくもない?
虎

因に、今回の展示では、橋本雅邦の「龍虎図」も虎でしたが、こちらは明治の作品だけあり、普通の虎でした。他に近世絵画では、酒井抱一の12幅の「花鳥十二ヶ月図」(1823)、海北友松、6曲1双の「浜松図屏風」(1605)、岩佐又兵衛の「小栗判官絵巻」(17世紀)、近代工芸では、並河靖之「七宝四季花鳥図花瓶」(1899)、川之邊一朝他作「菊蒔絵螺鈿棚」(1903)が特に印象に残りました。