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山崎博 計画と偶然 - 写真美術館 TOP MUSEUM

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恵比寿の写真美術館 で開催中の 『 山崎博 計画と偶然 』 展へ行ってきました。 山崎博(1946-) は、今年で武蔵美を退官されるそうで、その節目と写真美術館の総合開館20周年記念がマッチした企画とも言える、規模の大きなレトロスペクティブでした。彼の一番有名な作品は夜の「櫻」シリーズでしょうか。夜桜という詩的な要素のある美しい作品と思っていたのですが、美を追求、というタイプの作家ではなく、作為的なものを計画的に排しようとしてきた作家のようです。 光、海、というテーマが主流で、そこに「時間の推移」「偶然性」「計画性」という通奏低音がある作品を作ってきたのだなと思いました。フォトグラムの作品もありました。作品の全てが、フィルムで撮影された作品で、プリントはさすがに美しかったです。あと、山崎は、初期に実験映画をかなり作っていたそうで、映像のコーナーもありました。その実験映画が面白かったです。レトロなSFのような効果音も心地よく、ゆっくり見ることができました。 総合開館20周年記念 山崎博 計画と偶然 2017.3.7(火)—5.10(水)まで 東京都写真美術館 休館日:毎週月曜日(ただし月曜日が祝日の場合は開館し、翌平日休館) 第3水曜日は65歳以上無料 下記ランキングに参加しています。よかったらクリックしてあげてやってください〜。 にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へ 人気ブログランキング 美術鑑賞・評論 ブログランキングへ

日本画の教科書 東京編-山種美術館

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春らしい陽気が感じられる中、東京、渋谷/恵比寿エリアにある、日本画を専門とする、山種美術館で開催中の 「 日本画の教科書 東京編 ― 大観、春草から土牛、魁夷へ ― 」 に行ってきました。 恵比寿の写真美術館 からも歩いていけます。18分くらいです。合わせて鑑賞すると楽しいかもしれないです。 松岡映丘『春光春衣』 山種美術館の展示で、幾度か感じたことがあるのですが、最初に持ってくる作品群が上手い!というか、導入がいいなあと思うのですね。今回は、「教科書に出てくるほどの定番作品」という趣旨だと思いますが、まず最初に、「春」を思わせるこの 松岡映丘(1881-1938) の作品があり、なんとも雅な気持ちになりました。いいですね、春に春の作品を見るというのは。。(ちなみに、松岡映丘は民俗学者「遠野物語」を書いた柳田國男の弟だそうです) この展覧会は、山種美術館のコレクションからのセレクトで、「京都編」に続く企画の第二弾であり、開館50周年記念特別展の最後を飾る展覧会だそうです。 速水御舟(1894-1935) の有名な 「炎舞」 の後に描かれた下の作品は、条件付きで撮影が可能でした。金泥がほのかに輝いていて、美しい作品です。 速水御舟『粧蛾舞戯』 速水御舟『葉蔭魔手』 菱田春草(1874-1911) の朦朧体(もうろうたい)に挑んだ作品もありました。日本画的な輪郭線を排し、色面のみで描こうとした挑戦的な技法です。結果として、ぼかしを多用したかのような画面が出来上がるのですが、当時は、批判されたそうです。現代的な目で見れば、何1つまずい点はないと思われるのですが、制約が多い当時の日本画壇では、さぞかしセンセーショナルだったのかも、、と思いました。 他には、渡辺 省亭、下村観山、川合玉堂、小林古径、川端龍子、伊東深水、前田青邨、小堀鞆音、安田靫彦、東山魁夷、加山又造、平山郁夫などなど、著名な作家のオンパレードでした。 渡辺省亭(わたなべせきてい) は、来たる4月2日に、100回忌だそうで、 東博、鹿島美術、迎賓館 で作品が見ることができるそうです。『 蘇る!孤高の絵師、渡辺省亭展 』いうサイトがありますので、気になる方は是非ご覧ください。 鹿島美術 さんで、4月9日までです。 私が今回、いいな!と思ったのは、 落合朗風の「エバ

SNOOPY ミュージアム「もういちど、はじめましてスヌーピー。」展

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エントランス前の写真 期間限定で東京は六本木にオープン中の、 スヌーピーミュージアム へ行ってきました。知らなかったのですが、展覧会は毎回テーマがあり、展示替えがされているのですね。今回は、「 もういちど、はじめましてスヌーピー。 」とあるように、スヌーピーにフォーカスを当てた展覧会でした。なので、ピーナッツを知らなくても楽しめる内容です。逆に、あれ?なんでもっと他のメンバーの紹介がないの?と思われる人もいるかもしれません。そういう方には、4月以降の次回の展覧テーマ「 開館1周年記念展 ピーナッツ・ギャング・オールスターズ! 」がオススメかもしれません。 スヌーピーミュージアム、行く前に知っておくと良いなと思ったことは、 ・日時の予約が必要です(当日のキャパに余裕があれば予約なしもいけるようです。 ローソンチケット で買えます) ・ミュージアムにはロッカーがありません。 (キャリーバッグとベビーカーは預かり可) 外のバンで軽食が買えます ・ミュージアムのカフェか外のバンで飲み物や食べ物が買えます(外のバンはチケットなしでも買えますが、カフェはチケットがないと入れません) カフェ・ブランケット ・カフェの飲み物や食べ物は高いです。でも可愛い!ので、オススメします。ベジタリアンメニューはありません。メインの食べ物は、ホットサンド系です。これで飲み物とセットで1800円くらいでした。 カトラリーもスヌーピーでした さて、展示は、コミックブックの原画中心で、日本語訳が下についてくるものが主流で、あとは過去に販売されたヴィンテージグッズの展示、今回は、スヌーピーがどうやってもらわれてきたかという回のアニメーションも一部見れました。 下の写真は、シュルツさんが子供の頃に飼っていたビーグル犬だそうです。白黒で、確かにスヌーピーに似ています。この最初のコーナーでは写真が撮れました。 壁にもスヌーピーが 基本的に、体験型ではなく、コミック原画を見る展示なので、小さなお子さんを長時間拘束するのは厳しいミュージアムかなあと思いました。大人向きですね。ミュージアムショップは限定商品がいくつかあるようです。手ぬぐい「かまわぬ」とのコラボの手ぬぐいが3種類も!和三盆のスヌーピーもありました。売り場は充実していたと

ゴールドマンコレクションこれぞ暁斎!世界が認めたその画力展

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河鍋暁斎(かわなべ きょうさい) の画業を紹介する展示が、 Bunkamuraザ・ミュージアム にて開催されています。 This is Kyosai!これぞ暁斎!展 公式サイト 2017/2/23(木)-4/16(日) まで ※会期中無休 10:00-19:00(入館は18:30まで) 毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで) と、会期末が迫っている中での来館となりました。Bunkamuraザ・ミュージアムは公立美術館に比べ、遅くまで会館しているのが魅力の1つですね。 河鍋暁斎(1831-1889) は、江戸末期、茨城県古河市生まれ、 浮世絵師 歌川国芳の門下 となり、その後 狩野派 でも修行し、 江戸琳派の鈴木其一の次女 と結婚し、江戸琳派ともつながりを持った江戸末期〜明治の作家で、三菱一号館を設計した事でも有名な、建築家 ジョサイア・コンドル を弟子に迎えたことも有名です。 東京では、暁斎関連の展覧会では、三菱一号館でのコンドルとの師弟関係にもフォーカスした 「画鬼・暁斎」展 が2015年の夏に開催されました。それ以来で最も大きな暁斎の展覧会でしょうか。ジョサイア・コンドルは今回、「 ジョサイア・コンダー 」と訳されていました。最近、この日本語表記、変わってきていますよね。 「クラナッハ => クラーナハ」 「フォックス・タルボット => フォックス・トルボット」 とかでしょうか、最近のことでは。。タルボットがトルボットとか大騒ぎすべきではない、みたいなことを、浅田彰氏が書いておられましたが、私も同感と思いつつ、でも、タルボット/トルボットは些細かもしれないけど、クラーナハとクラナッハの違いは結構大きいような。。などと思ったり。コンダーもコンドルは、まあ些細なレベルなのかな。話が逸れました。 今回の展覧会、何が特徴かと言いますと、英国の暁斎コレクター(個人コレクターでは屈指のレベルだそうです)イスラエル・ゴールドマン氏の個人コレクション、173点が公開されているのですが、このコレクションが、暁斎の画業を網羅的に集めている点ではないでしょうか。 最初は、上のフライヤーにもありますように、 「地獄太夫と一休」 の絵はいろいろな暁斎の画集にも載っていますし、ヴァージョンも幾つかあるとは知って

レオポルドミュージアムへ

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ウィーンのLeopold Museum - レオポルドミュージアム へ2016年の9月に行ったときの感想です。ホーフブルグ(新王宮)、美術史美術館からも近いある一角に、 ミュージアムクォーター(MQ) というミュージアムに特化した素晴らしいエリアがあります。 ・ レオポルドミュージアム (公式サイト 日本語へリンクしています) ・近代美術館 ルードビッヒコレクション(MUMOK 写真の黒い建物です) ・ウィーン建築センター ・タンツクォーター(タンツとはDanceの事で、舞踊関係の施設) ・ズーム子供博物館 などの沢山のミュージアムに加え、人々が憩う広場を含め、 レストラン、デザインショップ、美術系本屋 などがあるエリアです。広場が面白くて、夜遅くまで、若者達が寝転んで(寝転べるような椅子があります。上の写真の青い物体がその椅子です。多分誰かの作品かと。)ウィーンっ子や観光客が楽しい時間を過ごしている感じでした。MQ内の レストラン「コルバチ」 も行きました。食事は、クスクスやシュニッツエル、飲み物は「Ottakringer Radler」オッタークリンガーのラードラーというビールのレモネード割りを飲みました。サービスも良かったです。 コルバチの美しいモザイクの天井 コルバチにて 今回は時間がなく、近代美術館は泣く泣く断念し、レオポルドミュージアムのみに行きました。MUMOKには、モホリナギの作品があると聞いて行きたかったのですが。。 レオポルドは、一言で言えば「半分以上が エゴン・シーレ の為のミュージアム」です。レオポルド夫妻が一生懸命集めたシーレやクリムト、19世紀のオーストリア絵画など、盛りだくさんで、ゆっくり見て回るには3時間以上は必要でしょうか。 ウィーンで1つしかミュージアムに行けないなら、 レオポルドミュージアム をお勧めするという意見をよくネットなどで見ますが、確かにそれだけの価値があるのではありますが、クラシックな絵画がお好みの方には美術史美術館がお勧めだと思います。ただし、美術史美術館はハプスブルグ家のコレクションがメインですので、収蔵品に共通するテーマ性はそこまで高くなく、レオポルドの方がその点、オーストリア美術に特化していて特徴的な美術館と言えるでしょう。 レオポルドミュージアムの