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2016年美術展覧会 マイベスト3

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2016年度の目標の1つに、「展覧会を30は観て、感想を書き留める事」があったのですが、達成できました! 合計36展覧会 でした。 外国の美術館での展示、画廊(入場無料だったもの)は除きました。 そして恥ずかしながら、チケットを購入しておきながら行けなかった展示が3つありました。。涙。 以下、 2016年1月から鑑賞順 に並べてみます。 博物館に初もうで Weston Collection 肉筆浮世絵 美の競艶 水 神秘のかたち展 世界遺産キュー王立植物園所蔵 イングリッシュ・ガーデン 英国に集う花々 美の法門展 はじまり、美の響宴展 フランク・ゲーリー展 - I Have An Idea 英国の夢 ラファエル前派展 ゆかいな若冲・めでたい大観 HAPPYな日本美術展 恩地孝四郎展 ボッティチェリ展 - 日伊国交樹立150周年記念 バロン住友の美的生活 美の夢は終わらない第一部 フェルメールとレンブラント:17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち展 没後100年 宮川香山展ーサントリーミュージアム ジョルジョ・モランディ 終わりなき変奏 勝川春章と肉筆美人画 フランスの風景 樹をめぐる物語 - 東郷青児記念 雑貨展 生誕150年 黒田清輝 日本近代絵画の巨匠展 ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞 安田靫彦展 Yasuda Yukihiko A Retrospective 頴川美術館の名品展 フランスの風景 樹をめぐる物語 - コローからモネ、ピサロ、マティスまで 美の祝典2ー水墨の壮美 複製技術と美術家たちーピカソからウォーホールまで 生誕300年記念 若冲展 カラヴァッジョ展 西洋更紗トワル・ド・ジュイ展 「神は局部に宿る」都築響一 presents エロトピア・ジャパン ジュリア・マーガレット・キャメロン展 ルノワール展 KIITSU 鈴木其一 江戸琳派の旗手展 トマス・ルフ展 クラーナハ - 500年後の誘惑 色の博物誌 -江戸の色材を視る・読む クリスチャン・ボルタンスキー/アニミタス-さざめく亡霊たち展 19th DOMANI・明日展 ====== 2016年度、「ロバと鳥と、」の観た展覧会ベスト3 1.カラヴァッジョ 2.モランディ 3.宮川香山 でした

19th DOMANI・明日展へ

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国立新美術館 にて開催中ー(ただし 2016年12月20日(火)~2017年1月10日(火)は年末年始休館 ですので、この記事がアップされる頃はちょうど休館中です)の 「 DOMANI・明日展」 へ行って参りました。 毎週金曜日・土曜日は午後8時まで で、私は金曜の夕方に行きましたが、思ったより空いていて、大変快適な環境で鑑賞できて大満足でした。 展示は、写真作品など一部を除き、撮影可能です。 この展示は、文化庁から公募選考の結果、資金援助を受けた作家達が、研修を終え、その成果を発表する場としての展覧会でもあります。平面、立体、陶芸、メディアアート、写真と色々なジャンルから選出されています。 個人的に気になった作家の作品写真を載せてみます。 曽谷朝絵 曽谷朝絵の光を描いたかのような絵画が印象に残りました。色合いが独特でその辺も記憶に残りました。 岡田葉 岡田葉にとって絵画は、「悪魔払い」としての絵画とキャプションにありました。似たような事を、陶芸の保科晶子のドレスを焼いた作品からも感じましたが、同じ女性としては、共感できなくはない、どこかに身に覚えがある気持ちになりました。上の写真は、岡田葉の、「元彼の家が家事になったという話を聞いてそれを絵画にした」作品なのですが、私だったらこういう作品は作れないなと思いつつ、悪魔払いというにふさわしい、恐怖を呼び起こす何かが潜んでいるように思いました。 あとは、折笠良の映像作品がとても印象に残りました。私は、映像作品(映画は除く)に関して言えば、一定の時間、そこに立って鑑賞しなければならないのが時に苦痛で、ざっと見て、ピンとこなければその場を立ち去る事が多いのですが、折笠の作品、童話の「幸福な王子」を「文字のみ」で表現したアニメーションは最後まで観ましたし、もう1回観たいとさえ思いました。とても意欲的な作家だと思いました。 気になった作家は以上ですが、どの作家も、見所が多く、充実した展示でした。1月は10日から鑑賞可能です。是非足を運んでみて下さい。 DOMANI・明日展 毎週火曜日 2016年12月20日(火)~2017年1月10日(火)は年末年始休館 2016年12月10日(土)~2017年2月5日(日) 午前10時~午後6時、毎週金曜日・土曜日は午後8時ま

クリスチャン・ボルタンスキー/アニミタス-さざめく亡霊たち展

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東京都庭園美術館 にて公開中、そして、 2016年12月25日で終了 の 「クリスチャン・ボルタンスキー/アニミタス-さざめく亡霊たち展」 へ行って参りました。美術館リニューアルにともなって、 「アール・デコの花弁 旧朝香宮邸の室内空間」 という展覧会と 併設 された展示となります。 こちらは、JR目黒駅から徒歩の範囲にあり、駅を挟み反対側となりますが、目黒区美術館も近くにあり、両方あわせての来館がおすすめです。 庭園美術館は、杉本博司氏の監修で、新館ができました。 ちょっと分りにくいのですが、ボルタンスキーの展示は、本館と新館の両方で見る事ができます。 新館は下の写真左にある、映像インスタレーションが見れます。 アニミタス展のポスター 本館では、建物にあわせていくつかのインスタレーションが見れますが、残念ながら、有名なホロコーストにあわれた方の写真を用いたインスタレーションはありませんでした。意外なことに、ボルタンスキーの個展はこれが本邦初となるのだそうです。私が初めてボルタンスキーの展示を観たのは、パリでだったでしょうか。個展としてまとめて見るのは確かに初めてでした。有名な影絵を用いた作品は、部屋のサイズが小さい為か、思ったより小規模なものでした。古着の作品はありませんでした。展示の部屋の制約がありますが、出来れば、映像系の新作ではなく、旧作の作品群を期待していたので、それは残念ながら見れませんでした。でも作家側からすれば、いつまでも旧作ばかり見たいというなよな〜とか思うでしょうから、しょうがないですよね。 「まなざし」2013年 あと、私が知っているボルタンスキーの話といえば、タスマニアの大富豪デヴィッド・ウォルシュ氏がボルタンスキーのコレクターで、ボルタンスキーをウェブカメラで日々観察する権利を買ったとかいう話です。あまりにも怖い話です。。。いくら大金を詰まれても私なら嫌ですね。。 ボルタンスキーへのインタビュー を見つけました。 デヴィッド・ウォルシュの話も少し出ています。ART iTの記事です。よかったら読んでみて下さい。 にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へ 人気ブログランキング 美術鑑賞・評論 ブログランキングへ

目黒区美術館ー色の博物誌 -江戸の色材を視る・読む

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色の博物誌 -江戸の色材を視る・読む 会  期:2016年10月22日(土)〜2016年12月18日(日)時  間:10:00~18:00 (入館は17:30まで)休館日:月曜日 観覧料:一 般 800(600)円 大高生・65歳以上 600(500)円/小中生 無料 障がいのある方は半額・その付添者1名は無料、(  )内は20名以上の団体料金。 目黒区美術館(JR目黒駅より徒歩) 金曜日にようやく、目黒区美術館へ行ってきました。 日本画だけにとどまりませんが、色材を知る事は、描く側だけではなく、絵画の鑑賞する側の理解をより深める一助となる事だと思います。今回で6回目となる、色に注目した目黒区美術館の展示は、そういう意味でも貴重であり、大変興味深いものでした。色材の展示だけではなく、 国絵 (幕府が描かせた藩の地図)や、浮世絵も多少の展示があり、あわせて見る事で、理解が深まると思いました。12月18日までと、会期末が迫っていますが、おすすめです。(庭園美術館も近いですので、セットで行かれるのもよいかと思います。) さて、日本画の材料は、膠(にかわ)と粉状になった絵具を主に使いますが、絵具は、顔料系と染料系に別れ、特に江戸時代は、ドイツで作られた、染料の青、ペルシャンブルーも入ってきており、豊かな色合いを作る事が可能となった時代でもあったようです。顔料は、鉱物系のものからとれるもので、例えば、緑青(孔雀石など)、朱(弁がらや辰砂などの鉱物)、白(鉛白)から作られている。一方、染料系は、藤黄、アオバナ、紅、藍、臙などで、植物から作られていた。(因に、光に弱いという弱点がある)染料は顔料に比べ、被覆力が弱いので、胡粉(貝殻を砕いて粉にしたもの)を混ぜて不透明にはなるが、画面定着力をアップさせていたという。 個人的に、見所は、勿論種々の道具類、絵具の原材料などの展示もさることながら、余り目にすることがない、意外と大きな「国絵」を鑑賞しつつ、色材がわかるような展示ガイドがあるので、それを見ながら楽しむことではないかと思いました。 にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へ 人気ブログランキング 美術鑑賞・評論 ブログランキングへ

クラーナハ展へ - 500年後の誘惑

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寒くなって参りましたが、金曜に、クラーナハ展、行ってきました。 金曜夜は、思っていたより空いており、快適に鑑賞できました。 私にとってのクラーナハは、「クラナッハ」で「目つきが怖い。ちょっとロンパリで、美しく描くというよりは、顔つきなどが人間臭くてリアル。」というイメージでした。9月にもウィーンでクラーナハをかなりの数見たのでそういう印象に拍車がかかりましたが、上野に集められていたのは、特に「妖艶」なクラーナハが目立ちました。あの目つき、夜中にサロメやユディトについて語りながら、ロウソクで鑑賞したら、眠れなくなりそうです。 これは私が購入したポストカードです。ファッションがすごいです。。顔つきは美化されていないかんじがいいなと思いました。関連グッズに来年度のカレンダーがあれば買ったのですが、なかったのが残念でした。 クラーナハ展、なかなか日本ではまとめてみるチャンスがないと思います!この目つきが気になる方は、是非西洋美術館へお出かけ下さい。 国立西洋美術館 クラーナハ展 - 500年後の誘惑 会期:2016年10月15日(土)~2017年1月15日(日) 開館時間:午前9時30分~午後5時30分 毎週金曜日:午前9時30分~午後8時 ※入館は閉館の30分前まで ※クラーナハ展は土曜日の夜間開館はありません。 休館日:月曜日(ただし、2017年1月2日(月)、1月9日(月)は開館)、 2016年12月28日(水)~2017年1月1日(日)、1月10日(火) 主催:国立西洋美術館、ウィーン美術史美術館、 TBS、朝日新聞社 にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へ 人気ブログランキング 美術鑑賞・評論 ブログランキングへ

トマス・ルフ展へ

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そろそろ師走の声が聞こえる中、 国立近代美術館 にて開催しておりました、「 トマス・ルフ展 」へようやく行ってきました。次は 金沢21世紀美術館 へ巡回するようです。見所は、ズバリ、ルフの代表作を網羅的に観れる点です。ルフの作品を初めて見てから20年以上経ちますが、その変化たるや、写真の技術変革の流れを追うかのようでもあります。NASAのデータを利用した「 カッシーニ 」を最初に見たのは、ギャラリー小柳でだったと思いますが、その時は、好きじゃない、ルフ、どうしたんだろう?と生意気にも思いました(笑)ルフは、写真の未来や可能性を探っているとは分っていたのですが、何故か、おもしろくないな〜とそのときは思いました。でも、今回、まとめて彼の作品を見た後では、不思議に少し納得していました。ルフが何を考えているのか、少し理解できるような。。。そんな展覧会でした。 *ルフ展のウェブサイトへの寄稿が、けっこう面白く読めました。浅田彰など豪華な執筆陣です。一読をおすすめします。 ルフ展特設サイト *展覧会は制約はありますが、基本、撮影できます。でも、ここには写真をあえて載せないことにします。 *ウィーンの美術館鑑賞日記の更新が滞っております。。。年内を目標とします! にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へ 人気ブログランキング 美術鑑賞・評論 ブログランキングへ

KIITSU 鈴木其一 江戸琳派の旗手展へ

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2016年10.20まで、東京六本木の サントリーミュージアムで開催中の「KIITSU 鈴木其一 江戸琳派の旗手」展 へようやく行って参りました。。。来週月曜迄のギリギリの閲覧&レポで(毎回この調子、、汗)恐縮ですが、おすすめです。 さて、 朝顔図屏風、夏秋渓流図屏風(後期展示)、風神雷神図襖 が見所でしょうか。。私、今迄に「夏秋渓流図屏風」は3回は見てると思います。。夏目漱石が論じたのでも有名でしたよね。琳派の枠に当てはまらない、奇妙な迫力を持った作品かと思います。やはり前期に行くべきだった、と今更リストを見て思いました(笑)毎回これ言ってます、、きちんと前期後期の出品リスト要チェックとメモを書いておくべきですね〜。 鈴木其一(1796-1858) 。江戸後期の琳派作家です。 松平定信の 寛政の改革で庶民は節約を強いられた直後の1796年に江戸で誕生。同時代の出来事としては、1796年には清で白蓮教徒の乱、アヘン輸入禁止、1798年は、ナポレオンのエジプト遠征。同年に生まれた人物としては、シーボルト。2歳年下に歌川国芳。浮世絵は後期の時代でしょうか。 鈴木其一は、似顔絵1つ残っていないそうです。彼が描いた師の酒井抱一の絵は展示されていました。出自に関しても、武家ではないかという説もあったりして、謎の多い作家です。朝顔図はアメリカの美術館にありますよね。アメリカ人はこの明解なデザイン性に惹かれる、という事をどこかで読んだように思います。この朝顔は、昼顔系の琉球朝顔みたいではないですか?もりもり咲いてるところとか、その色合いとか。 あとは、やっぱり琳派ってすごいな〜と。継承者たちは、縛りがなく、基本私淑からスタートしているのに、派を形成する迄に至るという影響力。クリムトも琳派の金地に大影響を受けたと言いますよね。うーむ、装飾芸術万歳!(彼らは装飾的な側面だけが魅力ではないですけど)アドルフ・ロースや禅の愛好者から殺されそう(笑)。 そんなことを思いました。週末に、是非どうぞ。 にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へ 人気ブログランキング 美術鑑賞・評論 ブログランキングへ

MAK - ウィーン応用芸術美術館へ

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先月、ウィーンの MAK-応用芸術美術館 へ行ったときの感想です。 MAKは、工芸、建築など、応用芸術を扱う美術館です。常設展示は、アジアコレクションルーム(中国、日本、韓国)、カーペットの展示室(16-17世紀オスマン帝国時代のカーペットが中心、18世紀のフランスのSavonnerieのカーペットも。世界3大カーペットコレクッションに入るそうです。)、ロココ、バロックの家具コレクションルーム、アールヌーボーの家具の部屋(主にウィーンのもの)、レースの部屋、ウィーン1900年の部屋(アーツアンドクラフツを中心とした1890-1938年の応用美術、クリムト作品含む)といったところだったように記憶しています。 入り口を入ってすぐのホール アールヌーボーの部屋 アールヌーボーの部屋 影絵を利用した展示 アールヌーボーの部屋では、ウィーンで作られたトーネット(曲げ木の椅子)の展示が、影絵と、実物の両方から鑑賞できる美しい展示がなされていました。キュレーションがうまいですね! ウィーン1900の部屋 - ホフマンの分離派展示の為のキャビネット ウィーン1900の部屋では1900年代界隈の、セセッション、ユーゲントシュテール、アーツアンドクラフツの紹介がなされていました。ウィーンが世紀末美術で輝いていたころの展示室です。写真は、ウィーン工房を立ち上げた、 ヨーゼフ・ホフマン Josef Hoffmann 1870-1956 が、1898年第1回分離派展のアトリエのキャビネットとして作成した家具です。後にコロマン・モーザが所有したそうです。 ウィーン1900より、ロースの室内装飾 上の写真は、 アドルフ・ロース Adolf Loos の、 「Corner seating ensamble from the study of Mary and Gustav Turnowsky」1900年とありました。詳しい事情が分らないのですが、装飾を否定したのに、思ったより装飾的だと思ったのですが、どうでしょうか。ロースについては、アルベルティーナ美術館2階に展示室があるのでそこを見てから発言すべきかもしれませんが。。 ウィーン1900より、Eduard Josef Wimmer-Wisgrillの家具 上の写真は、私のメモ

ウィーン建築散歩ーユーゲントシュティールの壁画、エンゲル薬局

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エンゲル薬局 ENGEL APOTHEKE/エンゲル薬局 正式名称:Apotheke zum weißen Engel 住所: Bognergasse 9, 1010 Wien 薬局は17世紀より現存するウィーン最古のもの。壁面は 1902年に オスカー・ラスケ によるモザイク画が施された。 オスカー・ラスケのwikipedia(独語) Oskar Laske(1874-1951) オスカー・ラスケ はオーストリアの建築家、画家。 ユーゲントシュティール(アールヌーボー)の作家。 知らない作家だと思っていましたら、「 魔女の秘密展 」に版画が来ていたのを見ていたようです。 このサイト の方の記事で知りました。情報をこうして得られるのは、ありがたいことです。 調剤薬局だろうから、観光客は買い物することはできないだろうと、遠慮がちに撮影しましたが、実は買い物はできたらしいです。中には彫刻のようなものを施した壁があったり、美しかったです。勇気を出して何か買ってみたらよかったです。 にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へ 人気ブログランキング 美術鑑賞・評論 ブログランキングへ

オットー・ワーグナーのウィーン郵便貯金局

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オットー・ワーグナー (1841-1918) の建築シリーズ、今回が最後です。 1906-12年のウィーン郵便貯金局 です。 「芸術は必要にのみ従う」(Artis sola domina necessitas) を体現した合理的な建物/内装です。マジョリカハウス、メダイヨン館、カールスプラッツ駅には、アールヌーボー的な要素がありましたが、郵便貯金局には特に内装にはその影が見受けられないように感じました。しかし、外観には古典的な要素はあると思いました。 屋根上に彫像があります。メダイヨン館にも彫像がありました。 上の写真で分るように、外壁に丸いビスのような意匠があると思います。これが現代的な印象を与えているように私は思いますが、どうでしょうか。 「非実用的なものは決して美しくなりえない」というワーグナーの言葉が。 この言葉、装飾の否定ともとれなくもありません。。アドルフ・ロースが彼を尊敬していたとあるので、このころには、すっかりマジョリカハウスを作ったことは否定していたりして。。。と思わせられました。 見応えありました。 この上の写真の内装を見ていると、北欧デザインの源流的な機能性を感じます。。 上の写真をみると、ちょっとアーツ&クラフツ調なものもあるような。。 と、駆け足で紹介してしまいましたが、これでオットー・ワーグナーの紹介はおしまいです。最後に、すごく彼の作品が好きになってしまったのは自分で少し意外でした。装飾的〜合理的への変遷がたどれたのがとても興味深かったのです。郵便貯金局は、MAK(ウィーン応用美術館)からも歩いて行けるので、個人的には大変おすすめです。 にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へ 人気ブログランキング 美術鑑賞・評論 ブログランキングへ

オットー・ワーグナーのアンカーハウスとカールスプラッツ駅

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前回に引き続き、 オットー・ワーグナー(1841-1918)の建築 です。 建設年順に載せればよかったのですが、前後してしまいました。 順序としては、 1895年 アンカーハウス 1898年 マジョリカハウス 1899年 カールスプラッツ駅 1907年 アム・シュタインホーフ教会(行けませんでしたので、写真はありませんが) 1906-12年 郵便貯金局 です。 で、 1895年のアンカーハウス です。夜の写真ですみません。見づらいですね。。今は下にFOSSILが入っていて、現役でした。 1895年 アンカーハウス 1階はガラス貼りで、モダンだと思うのですが、上層部は古典的ですよね。少しチグハグな感じでしょうか・・?モダンへの移行へのためらいのようなものが感じられる気がしました。ですが、昼間見ますと、また違った雰囲気で、このちぐはぐさがカッコイイ!とも思えました。100年以上昔の建物に、このように現代のアパレルショップが入っているというのが興味深いです。 1899年 カールスプラッツ駅 マジョリカハウスの1年後 に立てられた、 カールスプラッツ駅 です。マジョリカとの装飾的親和性のようなものを感じます。アールヌーボー調ですよね。中は、ワーグナーの資料の展示がされています。小さいです。(有料)。ショップ併設でこちらは無料で入れます。 対となる建物はカフェです。 ペールグリーン&ゴールドの組合せが素敵です。ゴールドはやはり分離派界隈メンバーには欠かせない色なのかしらと思いました。クリムトのゴールド、そして意外なところでは、ロースもマンツ書店のロゴは金色で着色していました。世紀末的でいいですね。 あとは、 郵便貯金局 の建物でワーグナー特集は終わりの予定です。 アムシュタインホーフ教会は郊外にあり、交通不便な様子でしたので、今回は行きませんでした。次回の楽しみにとっておきます。 にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へ 人気ブログランキング 美術鑑賞・評論 ブログランキングへ

オットー・ワーグナーのマジョリカハウスとメダイヨン館へ

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実は、ウィーンについて最初に見たのが、ゼセッションではなく、この オットー・ワーグナー(ヴァーグナー)Otto Wagner設計のマジョリカハウスとメダイヨン館 (1898−99に建設された)でした。現在も居住者がいる集合住宅です。 マジョリカハウス マジョリカハウスは、アールーヌーボー風の絵が描かれています。オットー・ワーグナーって、、、ウィーン工房じゃなかったっけ?と、 違います! 覚え違いをしていました。クリムトが提唱した分離派に参加して、アールヌーボー調の建築物を建てだすも、クリムトと共に離脱し、近代建築的な合理的な空間作りへと転換していったそうです。 ちょっと頭の中の整頓が必要でした。。。旅行前にこういうところをもっと復習しておけばよかったのですが。。 ということで、ちょっと分離派やウィーン工房界隈主なメンバーとざっとしたまとめを。 生まれた順番に並べました。 ●は分離派に参加 ○はウィーン工房に参加 ●○は上記の両方に参加 ●オットー・ワーグナー(ヴァーグナー)Otto Wagner 1841-1918 専門:都市計画/建築 分離派に参加、たった2年で脱退。 「芸術は必要にのみ従う」(Artis sola domina necessitas)を提唱。装飾的なアールヌーボー調建築から出発し、合理性を重んじる近代建築へ転換、現在も彼の立てた建築物や地下鉄駅は使用されている。 ●グスタフ・クリムト Gustav Klimt 1862 - 1918 ウィーン大学に納めた自身の壁画への批判事件の後、保守的なウィーンの美術界に対抗し、分離派を立ち上げ、ウィーンのモダンデザインへの道を開いた。 ●ヨゼフ・マリア・オルブリッヒ Joseph Maria Olbrich 1867- 1908 建築家。ワグナーの教え子。分離派に参加し、1898完成の分離派会館を設計する。41歳で早逝する。 ● ○コロマン・モーザー Koloman Moser 1868 - 1918 本の装丁から家具デザインまでマルチに才能を発揮したデザイナー/画家。 ウィーン分離派に参加。 ウィーン工房にをホフマンと共に設立。 オットー・ワーグナーに好かれ、メダイヨン館の金色のレリーフを作ったり、アム・シュタインホーフ教会

ウィーン、馬車博物館に圧倒される

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ウィーン13区にある、 シェーンブルン宮殿 は、ウィーン観光のハイライトの1つですが、宮殿の敷地内には、動物園や庭園、 馬車博物館( Kaiserliche Wagenburg ) などがあり、その敷地はなかなか広大です。シェーンブルン宮殿内部も見学しましたが、そちらは記事にされる方も多いでしょうから、私は行きたいと思っていた馬車博物館について書こうと思います。家族のリクエストで動物園にも行きました。そう、1日で宮殿内、馬車博物館、動物園、グロリエッテ(見晴し台)全てをコンプリート致しました。しかも歩いて。頑張れば回れるものですね。 さて、馬車博物館は、これは是非みたいと、ガイドブックなどで見た時に思いました。その細工のすばらしさ、車博物館なら聞きますが、馬車専用の博物館なんて聞いたことない、見たい!と思いました。行って正解でした。馬車の豪華さが異常すぎる・・!!こんなの見た事ない!というゴージャスさに打たれました。60台ほどの馬車や興、馬具、衣装、絵画などの展示がありますが、小さい博物館なのですぐ見れます。お勧めします。 ルドルフ皇太子のそり 上の写真は、多分ルドルフ皇太子のそりだったと思います。かわいい?というより、黄金すぎてすごいなと。。クリスマスプレゼントで贈られたと書いてあった気がします。メモを取らずに見てしまいましたので、不正確かもしれません。ご容赦くださいね。 多分、上の写真の黒い馬車は、シシィの旦那様フランツ・ヨーゼフが亡くなったときの、葬儀用馬車だったと思います。シシィの喪服の展示もありました。この馬車、写真が小さいのでその迫力をお伝えするのは難しいと思いますが、、とにかく、大きい!そして怖いくらい真っ黒でした(葬儀用なので当たり前ですが、、漆黒!でした)夢に出てきたらうなされそうな迫力がある馬車でした。私は、この馬車が一番印象に残りました。 1735年製のシシィの戴冠式パレード用馬車 上の黄金の馬車は、ガイドブックにも出ているので1735年製というのは正確かと思いますが、シシィのハンガリーでの戴冠式に実際に使用された黄金の馬車だそうです。豪奢で華奢で、、シンデレラに出てきそうなおとぎ話の中のコーチでした。 馬車をひく、馬達の衣装もありました。関連絵画の展示