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7月, 2017の投稿を表示しています

武田五一の建築標本展 -リクシルギャラリー

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上の写真ーこのハガキを見た時から、この展示は絶対に行くつもりでした。どこらへんがグッときたのかと言うと、金物の美しさ、しかも整然と並んでいる標本の美しさ、そういったものが見たかったのだと思います。 京橋のリクシルギャラリー は久々の訪問でしたが、やはり面白い展示をしますね。 武田五一、この人はNHKの朝ドラ「ごちそうさん」(杏ちゃんが主演のドラマ)に出てきた関西建築界の重鎮と言われた人物だそうです。広島は福山生まれ、 1872-1938 、若い頃の写真は美丈夫な感じでした〜w 美しいものを作る人が美しいと、ちょっと嫌味?な気もしますが、スター性が出てドラマにするのにうってつけですね。 武田五一は、英国に留学して、 アールヌーボーやセセッションを日本に紹介 、自分でも色々な建築資材を輸入し、資材の見本を作り、日本の近代建築をグッと底上げして近代化する為に尽力した建築界の大重鎮で、京都工芸繊維大学や名古屋工業大学の教授をつとめながら、精力的に資材の改良を考案しながら、建築物を西日本中心に作り続けて行き、今でもその建築物はたくさん見ることができますし、私も、 このサイト を拝見して、あ!ここは行ったこと/見たことあるね、という建物がいくつかありました。 ■□ 知らなかったことなどのロバメモ □■ ■□  卵鏃紋(らんぞくもん)egg-and-dart ornament  ー卵と鏃(やじり)の組み合わせの西洋の模様、建築物、特に装飾的な部位(モールディングなど)に使用されると思われます。 卵と鏃が交互に配置されている(クリックで拡大可) ■□ ロイロ仕上げ これはネットでもあまり情報がなかったのですが、どうも 漆塗りの仕上げの一種 のことのようです。五一はコンクリの上に、この漆仕上げの建物を作りたかったそうで、そこで、業者と協力し、漆にコールタール(だったと思いますがメモ詳しくはなし)を混ぜることで、コンクリに漆がしみ込んでいかないようにすることに成功したそうです。漆がこんもりと乗っているサンプルはどれもガラスやアクリルの質感とは違ってなんとなく艶が美しい気がしました。 展示は、小さなギャラリーで行われたので、 もっとたくさんの建築標本が見たかった です。そしてそれらを「撮影OK」にすべきだと思いました。そしたらもっとたくさん

没後40年 幻の作家 不染鉄 - 東京ステーションギャラリー

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1891年(明治24年)〜1976年(昭和51年) まで存命した、 不染鉄 (ふせんてつ/ふせん、が苗字、てつが名前。本名は、ふせん てつじ、だそうです。因みに、不染、という珍しい苗字は、賦船、という字であれば山形系の苗字であるようですが、それ以上はわかりませんでした。東京の小石川で、お寺の家に生まれたそうです。) 恥ずかしながら、今回、初めてその存在を知りました。 東京ステーションギャラリー さんは、いつも独特な企画をされて、個人的には、本当に目が離せない存在というか、いつも展示が秀逸で素晴らしいなあと思っています。今回もとても素晴らしい展示で、すっかり 不染鉄 に魅了されて大好きになってしまいました。 「いい人になりたい」 と言っていたという 不染鉄。 「芸術はすべて心である。芸術修行とは心をみがく事である」 とも言っていたそうです。 この笑顔!人柄がにじみ出てる〜。 上記の言葉を聞いて、私はショックを受けました〜。10代後半、そういうことをかなり熱心に考えていたことが一時期あり、その際に、「いや、作品の出来不出来と、人柄は関係ない。確かに高度な修練を重ねるうちに人格が研ぎ澄まされていくことはありうるが、本質的には作品そのものとは関係がないよ」というようなことを、周囲から言われ、そうなのか?そうなのかなー?と思いつつ、そうなんだ、、そうかもね。。と考えが次第に変化していった経験があります。。。 不染鉄は、結局、いい人になろうとし、自分の芸術には邁進したけど、政治的に動かなかったので、出世、とか、東京で認められる、とかは考えなかったので、こうして評価が遅れて「幻の作家」と言われてしまうようになったのかなあ、、、と思うと結構複雑な気持ちです。。。 まず、人生の変遷がすごい。東京->式根島->京都->東京->奈良、、、東京〜関西間をかなりうろうろと。しかも神奈川の鶴見、あと大磯?とかにも住んだことがあるらしい。自由だ!いいなあ。。。そして、東京での回顧展は今回初めて!故郷に錦を飾ったのですねー。なんだかしんみりきちゃいます。 作品そのものの話から逸れてしまいましたw 「山海図絵」1925 このチラシにもなった「山海図絵」、大きな絵でした。小さなところまで本当に細かく描かれていて、でも中

ジャコメッティ展、夏休みフェア

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新国立美術館で開催中の ジャコメッティ展 、7月19日から、 後期展示 が始まります。12点が展示替えされるらしいです。 あと、7月21日(金)から、ジャコメッティ展の図録を含むグッズ3,000円以上(税込)お買い上げの方に、 犬の彫刻のB3ポスター (非売品)をプレゼントするフェアを開催中とのことです。 フェア告知サイト スイス生まれ、フランスで活躍した アルベルト・ジャコメッティ(1901-1966) は、20世紀を代表する彫刻家のひとり。本展覧会はジャコメッティの大回顧展であり、マーグ財団美術館のコレクションを中心に国内コレクションの協力を仰ぎつつ、初期から晩年まで、彫刻、油彩、素描、版画など、選りすぐりの作品、 132点 が公開中。 公式サイト 私は前期に行きました。後期もぜひ行きたいです。 この後、 豊田市美術館へ巡回 するそうです。関西へは行かないみたいですね。 「国立新美術館開館10周年 ジャコメッティ展」 会期:2017年6月14日(水)~9月4日(月) 会場: 国立新美術館 企画展示室1E(東京・六本木) 主催:国立新美術館、マーグ財団美術館、TBS、朝日新聞社 一般問合せ:03-5777-8600(NTTハローダイヤル) 展覧会公式ホームページ 下記ランキングに参加しています。よかったらクリックしてやって下さい〜。 にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へ 人気ブログランキング 美術鑑賞・評論 ブログランキングへ

ジャコメッティ展 - 国立新美術館

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「歩く男」1959年 スイス生まれ、パリで活動した、彫刻家、 アルベルト・ジャコメッティ(1901-1966年) の展示です。私の学生時代も周りでそれなりに人気があり、個人的にもいいなとは思っていたものの、まとめて観るチャンスがなく、ジャコメッティのみの展覧会は、今回が初めてでした。 何故、こんなに細長い立体像を作ったのか? 実は理由があったのですね、、当たり前か、、 モディリアニ の細長い絵には、細長く描く理由が説明されていたことがないように思うので、ジャコメッティも細長〜い人が好きなのかと勝手に思っていたら、彼なりの明確な理屈があったのだということが実はまず驚きでした。その理由は、 距離を含んだ全体として対象を捉えると、そう見えるから だそうです(言いたいことは分かるので、な、なるほど!と思いました。)見えたままを描く(作る)、という意味では尊敬していたらしいセザンヌの影響があるそうです。また、 アフリカンアートからの影響 が色濃いのも初めて知りました。そして、この細長い立体像は 44歳から作り始めた というからこれまた驚きでした。 ジャコメッティの作品にライトが当たり、地面に作品の影ができているのを見たとき、私は、「 名たんていカゲマン 」という山根青鬼先生の古い漫画を思い出さずにはいられませんでしたわ〜。 影って、冬は特に細長〜く見えること、ありますよね。ジャコメッティはカゲマンを作りたかった訳ではなく、見えたまま、記憶のままにブロンズ像を作ったわけなのですが。。 今回私の記憶のプールの中では、 「カゲマン」「首長族」「モディリアニ」「バリー・フラナガンのブロンズ像」 などが浮かび上がってきたんですが、皆さんは何を思い出されたでしょうか。 上/バリー・フラナガンのうさぎブロンズ像 下/モディリアニ グーグル画像サーチより ジャコメッティの細長い人間像に関して、もう1つ驚いたことがありました。 像の土台部が、ミシンの踏み板みたいな感じ なんですね。これは、細長いブロンズ像を支えるという現実的な理由もあるのだと思います。そして、それだけではなくて、足、特に甲の部分がとても他の部位に比べて大きいんですね。これまた重量を支える為という理由があるのかどうかはわかりせんが、土台部と合わせて、ジャコメッティ立像の

Lady lambなど〜最近いいなと思った音楽まとめ

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ここ2年くらい、N響定演に時々行っていて、クラッシックや古楽聴いたりとそっちに偏っていっていて、ポップス&ロックは昔の曲をプレイリストで聴いてる感じの日々でしたが、ふと、新しい曲が聴きたくなってYou tubeなどを徘徊していて気に入った音楽をまとめてみました。多分後で買うときのメモ代わり。「新しい」と言いつつ、そんなに最新ではないです。 まずは、 Lady Lamb -訳すと「子羊夫人」または「レディー子羊」 。村上春樹の小説に鼠という人物が出てくるけど、そういう登場人物にも思えるネーミング。まずは、 Billions of Eyes (Official Lyric Video) を聴いた。歌詞がいい。自分の記憶ではないのに、なんとなく懐かしい思い出を見ているかのような気分にさせるとコメントに書いていた人がいたけど、そんな感じ。 レディーラム は、本名アリー・スパルトロ(Aly Spaltro)で 1989年、アメリカメイン州生まれ。蟹座女子。現在はNYを拠点に活動。元は、「Lady Lamb the Beekeeper」( 子羊夫人 - 養蜂家 )と名乗っていたらしい。「養蜂家」がついてると、「本当に蜂を育ててるの?」って絶対聞かれるもんね。短くしてよかったんじゃないかな? インディーフォーク、インディーロック。オフィシャルサイトは ここ 。ファンクラブの名前は「 優しい戦士の会 」、らしい。詩人テイスト。 次は、これまたUSのインディーバンドなんですが、LA出身の男4人組、「 Saint Motel 」。「 聖なるモーテル 」って何それ (・_・;? なんだけど、、You Tubeのミックスリスト聴くと、このバンドどんなバンドなの、というくらい、ナイーブなインディー調あり、レトロポップ調あり、ファンク調ありと結構色々です。。2007年からもう10年もやってるらしいので、変遷があったのだと思われますが、とりあえず、最近の傾向らしいこの曲「MY TYPE」を。 オースティン・パワーズ とかそのあたりの雰囲気。懐古調。 話が少しずれるけど、先月の装苑は ヴィンテージ特集 だし、アメリカの若者がレコードを買い漁ったり、チェキなど ポラロイドカメラ や写ルンですが流行ってて、今や ジャンルや年代の概念はネットのおかげで崩壊 してい

クエイ兄弟 - ファントム・ミュージアムへ

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渋谷区松濤美術館 にて開催中のクエイ兄弟の展示へ行って来ました。 アメリカ生まれ、イギリスでも活躍する双子のアーティスト「 クエイ兄弟 」による、人形を使った映像作品 『ストリート・オブ・クロコダイル』(1986年) などで日本では有名ですが、実は、映像作品だけではなく、舞台美術、イラストレーション、ポスター、CMなどなど様々なジャンルで長年活動を続けている作家です。 ヤン・シュバンクマイエル が好きなので、そこから私はクエイ兄弟も好きになりました。 人形、ドールハウス、シュールレアリスムなどにピン!と来る方にはオススメです。 『ストリート・オブ・クロコダイル』(1986年) クエイ兄弟 は、ヤン・シュバンクマイエルを含む、ポーランドのアニメーションやイラストレーションに影響を受けたそうです。 「ヤン・シュバンクマイエルの部屋」 という作品も作っているほどです。非常に東欧の雰囲気がする作品が多いのですが、実はアメリカ人というのが不思議です。 イギリスの4ADレーベルから出た「his name is alive」のアルバムジャケットを作っていたり、ピーターガブリエルのスレッジハンマーのPVにアルチンボルト風の映像を提供していたり、コムデギャルソンの映像、ニコンのCMを作ったり、芸術性の高い商業作品を数々作っています。 ピーターガブリエルのスレッジハンマーです。 02:22あたりからアルチンボルト風になります。 展覧会では、 日曜にDVD上映会 があります(整理券が必要です)。展覧会では、映像ではなく、主にその制作の源とも言える、映像につかわれた人形や小さな舞台装置がインスタレーションとして展示されています。 兄弟のうち、どちらがどういう役目なのか、とか、版画も共作なのか、とか、どっちかが描いたとか、そういう違いはあるのかな〜というのが気になりましたが解説はなかったです。 いつまでも見ていられる美しさでした 上の写真の一部 写真が一部だけ撮れました。待ち受けにしたかったのですが、ガラスの写り込みがかなりあって携帯のカメラだと難しかったです。あと、図録を買うと、抽選で、兄弟のサイン入りのものが当たります! 個人的には超おすすめです。が、好みが分かれる作品なのでその辺はご容赦w 本当は、 世田谷文学