ジャコメッティ展 - 国立新美術館

「歩く男」1959年


スイス生まれ、パリで活動した、彫刻家、アルベルト・ジャコメッティ(1901-1966年)の展示です。私の学生時代も周りでそれなりに人気があり、個人的にもいいなとは思っていたものの、まとめて観るチャンスがなく、ジャコメッティのみの展覧会は、今回が初めてでした。

何故、こんなに細長い立体像を作ったのか?

実は理由があったのですね、、当たり前か、、モディリアニの細長い絵には、細長く描く理由が説明されていたことがないように思うので、ジャコメッティも細長〜い人が好きなのかと勝手に思っていたら、彼なりの明確な理屈があったのだということが実はまず驚きでした。その理由は、距離を含んだ全体として対象を捉えると、そう見えるからだそうです(言いたいことは分かるので、な、なるほど!と思いました。)見えたままを描く(作る)、という意味では尊敬していたらしいセザンヌの影響があるそうです。また、アフリカンアートからの影響が色濃いのも初めて知りました。そして、この細長い立体像は44歳から作り始めたというからこれまた驚きでした。

ジャコメッティの作品にライトが当たり、地面に作品の影ができているのを見たとき、私は、「名たんていカゲマン」という山根青鬼先生の古い漫画を思い出さずにはいられませんでしたわ〜。



影って、冬は特に細長〜く見えること、ありますよね。ジャコメッティはカゲマンを作りたかった訳ではなく、見えたまま、記憶のままにブロンズ像を作ったわけなのですが。。

今回私の記憶のプールの中では、「カゲマン」「首長族」「モディリアニ」「バリー・フラナガンのブロンズ像」などが浮かび上がってきたんですが、皆さんは何を思い出されたでしょうか。

上/バリー・フラナガンのうさぎブロンズ像
下/モディリアニ グーグル画像サーチより

ジャコメッティの細長い人間像に関して、もう1つ驚いたことがありました。像の土台部が、ミシンの踏み板みたいな感じなんですね。これは、細長いブロンズ像を支えるという現実的な理由もあるのだと思います。そして、それだけではなくて、足、特に甲の部分がとても他の部位に比べて大きいんですね。これまた重量を支える為という理由があるのかどうかはわかりせんが、土台部と合わせて、ジャコメッティ立像の特徴的な部分でもあると思いました。


土台部と足部

新国立美術館

もう少し、ブロンズ像があったらこの展覧会は満点間違いなしでしたが、数が物足りなかったです。輸送コストや保険費用を考えると難しかったのだとは思いますが、もっとたくさんのブロンズ像が見たかったと思いました。今回は、南フランスのマーグ財団美術館のコレクションを中心とした展示だったそうなのですが、パリとチューリヒのジャコメッティ財団があるので、本気で見たければフランスとスイスに行くしかないですね。9月4日まで。新美は火曜日休館なので気をつけて〜。そのあと、愛知県の豊田市美術館に巡回するそうです。

下記のオフィシャルサイトにある「ジュニアガイド」がわかりやすく面白い!!細長君のペーパークラフトあり。印刷して切り抜けば卓上に作品が置けます。

*2018年、1月 Final Portraitという原題のジャコメティ映画が公開されます。TOHO
シネマズシャンテなどで公開予定とか。

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ジャコメッティ展
Alberto Giacometti: Collection Fondation Marguerite et Aimé Maeght
国立新美術館
オフィシャルサイト
平成29(2017)年6月14日(水)〜9月4日(月)(72日間)
10:00〜18:00 毎週金曜日、土曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで
火曜休館!

巡回あり!愛知展:平成29年10月14日(土)〜12月24日(日)豊田市美術館
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