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ルノワール展へ

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残暑お見舞い申し上げます。 今年の夏は、美術館へはほとんど行けずに大変残念でしたが、ルノワール展へは、かろうじて行って参りました。会期もほぼ終了しかけた中での感想となりました。 浴女たち さて、言わずと知れたルノワールですが、晩年の「浴女たち」(ないし、晩年の裸体画)についてどう捉えるのか?というのがある意味、現代のルノワール論の1つの切り口になっているようで、私が目を通しただけでも、「日曜美術館」や「芸術新潮」でもこの「浴女たち」の話に時間が割かれていたように思います。私が学生時代のころも、この晩年の女性裸体画、ないし「 水浴図 」についてはざっくりとですが習った記憶があり、当時のノートをひもといてみますと、「水浴図」というのはアングル、セザンヌ、マティス、ゴーギャン等々も描いている、西洋の伝統的な図像の1つであり、その水浴図の歴史の中で、ルノワールの晩年作についても学んだようでした。ルノワールの晩年の裸体画は、傑作なのか?というテーマはこのシリーズが発表されてから、おそらくはずっとある問題だと思います。ぶよぶよの女性の肉体のどこが美しいのか、老いた巨匠、と発表当時は言われ、むしろ、若い頃の作品の方が遅まきながら評価されていたそうです。晩年作が若い頃と大きく変化するのは、よくあることだと思いますが、ルノワールの場合は、リウマチが作画に大変影響しており、50過ぎに発病したその病は、しだいに作家の手足の自由を奪っていき、「浴女たち」を描いた晩年には大変な苦労があったそうです。リウマチと痛風は混同されている方も多いかもしれませんが、別の病気です。リウマチは原因不明、手足の関節が次第に硬化し、現代でも完治するのは難しいという病です。。私の同世代の知人にリウマチの女性がいます。20代の半ばで発症され、子供を抱く事すら出来ず、、と精神的にも辛い病気であることは知っています。その痛みは画家にとっては絵筆を握れないという、致命的な事になりかねないのに、ルノワールは筆を何とかにぎり、描き上げたのが「浴女たち」です。モネが晩年視力の低下で描いた絵とは少し違うかもしれませんが、作家の持っていた筈の能力100%で描きあげた作品ではない、そんな中でたどりついた新たな境地、と言えなくもないという意味では共通するものがあるかもしれません。それにしても、ルノワールは、本当によく画業