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1月, 2016の投稿を表示しています

はじまり、美の響宴展へ - 圧巻の大原美術館コレクション展

新国立美術館 にて開催中の、「 はじまり、美の響宴展 ーすばらしき大原美術館コレクション 」へ行ってきました。このコレクションは、日本で美術を学ぶ人の為に、1930年に開設された大原美術館は、実業家大原孫三郎の支援で、ヨーロッパに留学中であった、児島虎次郎が集めたコレクションに端を発した、今現在まで続くコレクションです。圧巻のコレクションです!!見る価値はあります。教科書に載るような作品が大量にあります。 大原美術館へ私が初めて行ったのは、若き頃、1993年8月6日の事でした。23年前です。何故分るのかと言うと、手元に友人が撮影した、美術館前での写真があるからです。そのうち、1人は建築家、1人は学芸員になり、、と友人の写真を見てはまぶしく思います(笑) その時買い求めたポストカードは3点、富本憲吉の色絵四弁花紋筥(筥ははこ、と読みます。色絵の陶器の箱です。四弁花紋と言えば、ホテルオークラのつづれ織りも富本憲吉。残念ながら、現物は壊されてなくなったようですが)、クラインの「青いビーナス」、カリエールの「想い」の3点。富本憲吉の色絵筥は来ていましたが、他2点は今回は来ておりませんでした。 昔話はさておき、当時とはだいぶ違った視点で観る事になるのかな、と思いきや、やはり、富本憲吉の色絵四弁花紋筥が好きですし、 ポロックのカットアウト は楽しい作品(話がそれるけど、実はこの作品作ってる時にポロックは交通事故でなくなり、人形風に切り抜かれたキャンバスを前に、妻が白い厚紙?を穴下にくっつけて作品を完成したらしい。。つまり半分共作的な作品だった。知らなかったです。)、フォンタナも相変わらずクールですし、グレコの受胎告知も昔授業で模写したものと同じで、懐かしくもあり、すばらしい作品だなと。視点は若干変わったと思いますが、当時とだいたい同じものが好きみたいで、自分で苦笑しました。が、やはりそれだけ、「定番中の定番」的な作品が多いのだと再確認できたかもしれないです。すばらしい慧眼で作品を集めた児島虎次郎の目利きぶりに本当に脱帽です。(因に児島虎次郎の作品もとても美しいです。2点程来ていたように記憶しています)あと、見たのかもしれないのですが、記憶になかったのがわずか20で逝去した、 関根正二の「信仰の悲しみ」 で、これはどうしても見直してみたかった作品でしたので、今回、来て

パリ・リトグラフ工房idemからー版画が好きなのだと再確認

東京駅のステーションギャラリーにて公開中の「 パリ・リトグラフ工房idemからー現代アーティスト20人の叫びと囁き 」を見て参りました。パリの歴史的なリトグラフ工房idemで作成されたリトグラフの展示です。これを見て、自分はリトグラフが好きなのだと再確認しました。あの、コピー機の荒目でもない、印刷物やデジタルのドットでもない、銀塩の粒子でもない、不思議な色合い。特に黒のインクののりかた。版を使って刷る。そのあたりにぐっとくるのだと再確認しました。 最近では、リトグラフでデジタル製版も可能になったとの事。時代ですね。デジタル銀塩というのもありますし、デジタルとアナログの融合が色々な所で実現されていますね。銀塩写真と版画は「版を使う」といった意味で近い物があるからでしょうか、この展示では、やなぎみわ、森山大道もリトグラフに挑戦しています。森山大道の作品は、横須賀で撮影された有名なストッキングの写真をリトグラフにしていましたが、これはリトグラフにする意味が若干個人的にはピンとこなかったです。彼は写真家ですから、写真から逸脱しない範囲内でのリトグラフ、まるでアナログ写真をデジタル銀塩で出力しなおしたかのように、あくまで写真をリトグラフに置き換えた、といったような「変換」行為としてのリトグラフだった、という事なのでしょうか。これは版画作品なのか、写真作品なのか。版画を使った写真作品と言えば簡単ですが、なかなか考えさせられるものがありました。それに対し、やなぎみわは、純粋なリトグラフを作成。写真作品でデビューした彼女ですが、あくまでそれは作風の1つであると証明するかのように、力強い質感のある作品を展示していました。 こちらの展示は、展示作品のポストカード販売はなく、とても残念でした。

水 神秘のかたち展へー宇賀神に驚愕!

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六本木のサントリーミュージアム にて開催中の「 水 神秘のかたち 」展へ行って参りました。最近は展示入れかえがありますから、目当てのものがないと、がっかりしますね。ちらしにもなっている「日月山水図屏風」の展示は終わっておりました!下調べが足りませんでした。展示入れ替えで見えなくなる作品は、ちらしに大々的に使わないでもらいたいと思うのは、私だけでしょう?。サントリーさんは以前にも、「久隅守景」展での「納涼図屏風」も同じ様にちらしに使っていて鑑賞を期待していましたら、展示入れ替えで見えなかった事がありました。 さて、本題の「水 神秘のかたち」ですが、こういう1つのテーマにそった内容で時代を超えて作品を集めた展示は、大好きです。特に今回は散漫にならず、水への信仰というサブテーマでもまとまっており、よい展覧会だったと思います。今回は、展示のポストカードの販売が一切なく、手元に写真がなくとても残念なのですが、「宇賀神」(うがじん)の存在を知り、その頭は人間、体は蛇という造形のすごさに驚愕しました。 参照:wikiの宇賀神の項目  出自は不明らしいのですが、元は、穀物神で、弁財天と習合し(宇賀弁財天、江ノ島、竹生島、厳島などに伝わる)、龍神の化身ともされるようです。その造形が大胆不適、しかも展示されていたものはかなりの大きさ。知り合いで宇賀神さんという方がいるのですが、ここから名前が来ていたんですね。。会期あとわずかですが、宇賀神を見たい方は、大変、お勧めの展示です。 By PHGCOM - Own work by uploader, photographed at Musee Guimet, CC 表示-継承 3.0 , https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=7790354

壽新春大歌舞伎 昼の部へ

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歌舞伎座にて公開中の、新春大歌舞伎へ行って参りました。 廓三番叟 義経千本桜-鳥居前 梶原平三誉石切 新古演劇十種の内 茨木 廓三番叟はお正月なめでたい感じでよかったです。千本桜や茨木などは、話自体が有名ですが、茨木は見た事がなかったのでよかったです。玉三郎さんの幽玄さが美しかったです。鬼=節分、と来月へのつながりをなんとなく感じさせる演目が最後なのが興味深いです。お正月は、やはり、東博、歌舞伎(もしくは人形浄瑠璃)、N響を毎年の定番にしていきたいです。 写真右は、御朱印です。5階で頂けますが、印刷でした。日付のみ入れて下さいます。お参りは歌舞伎座の入口脇、5階はチケットなしでも行けます。1ヶ月前の舞台写真も販売されていました。幕見で行った芝居の写真が欲しい場合は、1ヶ月後に5階で買うとよいと思いました。(チケットを買った場合は、舞台写真は、休憩の15分の間に買いに行くのがお勧めです。売り切れもあるので、早めに行った方がよいみたいです。)

美の法門展ー日本民藝館へ

日本民藝館にて開催中の「 美の法門ー柳宗悦の美思想 」展へ1月10日に行ってきました。初日が9日ですから、珍しく会期2日目にしての訪問ができました。日曜でしたが、幸運にも空いており、有り難い事に、ゆっくり鑑賞できました。(多分ですが、「西洋の民芸」コーナーが2月5日からからの展示なので、そのためもだったのかもしれません) 「法門」とタイトルにあるように、この展示は、仏教美学の観点から構成された展示でした。名もなき職人が作ったものが、何故、この上もなく美しいのか、という長年の柳の疑問は、「大無量寿経」を読んでいる時にひらめいたそうです。 「たとい我れ仏を得たらんに、国の中の人天、形色同じからずして、好と醜とあらば、正覚を取らじ」 仏教は門外漢なので、現代語訳は遠慮するとして、正覚というのは仏教用語での悟りのこと、柳はこの、人天を器物におきかえ解釈したそうですが、平たく言うと、物々を「美しい、醜い」というのは人間の後付けであり、「本来は、美も醜もない」という意味のようです。これは、「うまい、へた」という概念も同じかもしれません。 17世紀、江戸時代の大津絵の阿弥陀如来の像、室町時代の築島物語絵巻もありました。築島物語絵巻はいつ見てもすごい絵巻です。柳は「直感、つまり知識で見るのではなく純粋に見よ」と言っていたそうですから、このような解説を読まず、頭を空にして観るとよいかと思います。(と、最後に書くのはどうかなと思いますが、、ご容赦あれ)

N響定演 第1826回 山田和樹指揮 ペトルーシカ

1月9日に、NHKホールでの、N響定演へ行って参りました。目的は、ペトルーシカを山田さん指揮で聴く事でした。以下プログラムです。 1.ビゼー 小組曲「子供の遊び」作品22 2.ドビュッシー(カプレ編) バレエ音楽「おもちゃ箱」 3.ストラヴィンスキー バレエ音楽「ペトルーシカ」(1911年版) 山田さん考案の人形つながりのプログラムだそうです。とても興味深い構成です。こういう「〜づくし」のようなセレクトは、美術の展覧会では見かけますが、音楽では初めてです。人形関係といえば、「くるみ割り人形」「コッペリア」などが有名すぎるほど有名ですが、個人的には、ペトルーシカが一番好きです。ですが、子供向けではないですよね。 そして何より、1911年版とあるように、三管ではなく四管構成!!重厚でした!!こういう「〜づくし」シリーズの音楽会、もっと開催されると面白いのにな〜と思います!たとえば、タイトルに青がつく、とか、色でも面白いですね。 と、書いていたら、読響の2月の公演でカンブルラン指揮の、「夜」をテーマにしたかのような演奏会がありますね。マーラーの交響曲第7番「夜の歌」、モーツァルトの「アイネクライネナハトムジーク」(=小夜曲)の2曲による公演です。

「世界遺産キュー王立植物園所蔵 イングリッシュ・ガーデン 英国に集う花々」

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パナソニック 汐留ニュージアム で、ボタニカルアートに因んだ展覧会が行なわれるようです。 「世界遺産キュー王立植物園所蔵 イングリッシュ・ガーデン 英国に集う花々」 2016年1月16日(土)~3月21日(月・祝) 10時am〜6pmまで(入館は5:30pm) 毎水曜日休館 公式サイト Bunkamuraでバンクスのボタニカルアート展を観たのは、2014年の暮れでした。こちらの汐留の展覧会では、バンクス、ダーウィン、モリスなどに注目した展覧会となるそうです。作品リストが現時点ではアップされていないようですが、個人的には、キューガーデンの marianne north gallery を再現してほしい!! " 同園が所蔵する黎明期から現代までのボタニカル・アートの名品、さらに植物を着想源としたデザイン・工芸品を含めた約150点を展観します。"'(公式サイトより) とありました。 Bunkamura ザ・ミュージアム「英国の夢 ラファエル前派展」 と相互割引があるようです。こちらも要チェックですね。

2016新年〜展覧会へ

1.博物館に初もうでー東博 2016年、平成28年度、初の展覧会巡りは、東博でした。 去年のお正月明けは、 根津の「動物礼賛」 展へ行って、干支である未関係ということで、根津の双羊尊と、大英博物館のを二つ並べた豪華な展示を観たのでした。「博物館へ初もうで〜」は恒例の干支に因んだ展示。実は行くの初めて!でした。すごく充実していて、東博ではあり得ないほど、ゆっくり観れたので、三ヶ日に行かなくて個人的には、かえってよかったかも。。 狩野山雪「猿猴図」 、あまりのかわいさにクラクラしますね。17世紀、400年前の作品!他に、  狩野探信「百猿図」 (たんしん、狩野探幽の子)、「 伝竹模写、雪村筆の「群猿図」 (18世紀、原本は17世紀)、柴田是真、森狙仙の模写、などなど。手長猿」の毛がモコモコっとした描き方は、牧渓の描き方によるものなのかな。 等伯の国宝「松林図屏風」も出品されていたけど、個人的には猿シリーズがよかった。。。まさに猿の楽園。眼福でした。 2.Weston Collection 肉筆浮世絵 美の競艶ー上野の森美術館 こちらも、近場なので、同日に回りました。知らない作家がちらほらおり、興味深い展示でした。 浮世絵、はざっくり250年程の歴史があるのですね。初期は、約1650年頃で、墨のみの単色刷りか、肉筆画で始まり、100年ちょっと経って中期、多色刷りによる「錦絵」が誕生して、分業体制が整うと。展示は幅広くコレクションされた作品が並んでいました。作品の状態がすごくいい気がしたんですけど、これはメンテされているからなのでしょうか?(余談ですが、米国の日本コレクションって状態がいいものが多い気がします。環境がいいんでしょうか。)表装も美しく、日本刺繍がほどこされた豪華絢爛なものばかり!米国好みとも言える、豪華なコレクションでした。 勝川春章 もよかったです。あとは、 鳥文斎 栄之 (ちょうぶんさいえいし 1756-1829)が好きです(今回初めて知りました)。武家出身で、狩野派に学び、錦絵も作成していたそうですが、トラブルがあり、肉筆画へ転向した作家のようです。細やかなタッチで美しい。 肉筆画では、漆黒の髪の毛を描いたときの、黒色の何とも言えないマットでありながら、絹の光沢感もある黒色がとてもよかったです。何とも言えない吸い込まれる

メモ- 2015展覧会ベスト3

2015年度の美術系展覧会は合計23展しか鑑賞できませんでした。。2014年より若干増えたものの、仕事帰りに行けていた頃に比べると、激減です。今年こそ、30展にはしたいところ。 [2015年度、最も並んだ展示・・鳥獣戯画ー東博] これは最も心が折れそうになった展示でした。。。平日朝からがんばって行きましたが、駄目でした。並ぶのにくたくたになりました。あと都美での「モネ展」も並びました。1度は諦めて帰宅、「印象 日の出」は諦め、会期終わり間近に行き、ようやく入れたという感じです。 友人ともよく話しますが、90年代はここまで展示に並ばなかったと思います。お金のある団塊世代が引退し、美術館に来る人が増えたのでしょうか。動員数が増えるのは大変喜ばしい事ですが、若い世代が気楽に美術館にこれるようになるともっとよいのにな〜と思います。 [2015年度のBEST3展覧会] 1. 画鬼 暁斎(三菱一号館美術館) 2. 風景画の誕生(Bunkamura ザ・ミュージアム) 3.狩野一信の五百羅漢図展(増上寺) [2015年度のBEST3 アート系映画] 1.みんなのアムステルダム国立美術館へ 2.ヴィヴィアン・マイヤーを探して 3.ターナー、光に愛を求めて アート系映画は、8個観ました。ヴィヴィアンはとても辛い映画でした。そして、アメリカにはもっとたくさんのヴィヴィアンが眠っていると思いました。 北斎の娘の視点で描いた、杉浦日向子の傑作「 百日紅 」もとてもよかったです。生きておられるときに映画化されたらどんなに、とも思い、感無量でした。ベルト・モリゾの映画もよかったです。2015年は、女性作家の映画がわりかし多かったように思います。アート映画もネタ切れですね。でもどんどん新しいアートにまつわる作品が観たいです。