パリ・リトグラフ工房idemからー版画が好きなのだと再確認

東京駅のステーションギャラリーにて公開中の「パリ・リトグラフ工房idemからー現代アーティスト20人の叫びと囁き」を見て参りました。パリの歴史的なリトグラフ工房idemで作成されたリトグラフの展示です。これを見て、自分はリトグラフが好きなのだと再確認しました。あの、コピー機の荒目でもない、印刷物やデジタルのドットでもない、銀塩の粒子でもない、不思議な色合い。特に黒のインクののりかた。版を使って刷る。そのあたりにぐっとくるのだと再確認しました。

最近では、リトグラフでデジタル製版も可能になったとの事。時代ですね。デジタル銀塩というのもありますし、デジタルとアナログの融合が色々な所で実現されていますね。銀塩写真と版画は「版を使う」といった意味で近い物があるからでしょうか、この展示では、やなぎみわ、森山大道もリトグラフに挑戦しています。森山大道の作品は、横須賀で撮影された有名なストッキングの写真をリトグラフにしていましたが、これはリトグラフにする意味が若干個人的にはピンとこなかったです。彼は写真家ですから、写真から逸脱しない範囲内でのリトグラフ、まるでアナログ写真をデジタル銀塩で出力しなおしたかのように、あくまで写真をリトグラフに置き換えた、といったような「変換」行為としてのリトグラフだった、という事なのでしょうか。これは版画作品なのか、写真作品なのか。版画を使った写真作品と言えば簡単ですが、なかなか考えさせられるものがありました。それに対し、やなぎみわは、純粋なリトグラフを作成。写真作品でデビューした彼女ですが、あくまでそれは作風の1つであると証明するかのように、力強い質感のある作品を展示していました。

こちらの展示は、展示作品のポストカード販売はなく、とても残念でした。