皇室の名宝2期へ

2009.11.25の記事より

皇室の名宝2期へ行ってきた。
2期の売りは、「書」と「聖徳太子像」(奈良時代、8世紀)、「蒙古襲来絵詞」(鎌倉時代、13世紀)だろうか。以下感想をまとめてみます。

「書」について
1.「法華義疏」
私が一番感銘を受けたのは、「法華義疏(ホケギショ)」聖徳太子筆(飛鳥時代、7世紀、法華経の注釈書)です。緻密な文字で、個人的には今回の展示の中で最も知的で美しい文字だと思いました。書の途中に字の乱れがほとんどなく、これが7世紀の文字かと思うと、人間の手仕事は大きくは進歩していないのではと思わせるものでした。

2.伝紀貫之の乙女チック文字

さすが、女性のふりをして日記を書いただけあり、紀貫之の文字はかよわくナヨナヨしていてよかったです。伝なので、真贋の程は分からないですが、いろいろ想像を巡らせる文字でした。

他には、小野道風(おののとうふう)の文字も、印象に残りました。書の知識が乏しい素人の感想ですが。。

書家の石川九楊は、「書とは何か」の問いに対し、書は「線でもなければ形でもない。それは触覚のかたまりである」と言い、「書を書くとは、触覚を残すことであり、書を見るとは、この触覚を観察することであり、書をよむとは、この触覚の劇を細部にわたって解剖、解析、解明することである。」と言う。つまり書を見るには、数文字もしくは一字、「なぞれば解る」とのこと。確かに、(西洋)絵画も、筆致を味わうには、表面に触れることで、より多くの情報を得る事ができますが、実際はなぞったり、触れたりなんてできませんので、想像するしかないですよね。

「聖徳太子像」「蒙古襲来絵詞」
こちらは、教科書でおなじみの、あの絵です。思ったより劣化が激しく、残念でしたが、鑑賞できてよかったです。

展示に関して残念だったことは、書は、「右から左」に読ませるものなのに、博物館側の順路指示が「左から右」だったことです。人も多く、逆らって鑑賞することもできず、これは本当に残念というか、空しい気持ちにさせられました。まあ、諸事情あったのかと思いますが、何とかならなかったのかなとも思いました。
あと、刀の展示が今1つ。多くの人がスルーしていたような。もう前後から観れるともっとよかったかもしれないです。