新印象派展 - 東京都立美術館


久々に展覧会の感想など。。新印象派といえば、スーラの「グランドジャット島の日曜日の午後」は中学の美術の教科書にもたいてい載っているくらい、美術史には重要な運動の1つだと思います。初めて見たときは、面白い!点描!と子供の頃は思ったのですが、今や点描というかドットで色彩を表現するコンピューターのモニタが一般化し、ドット絵なんかもありますし、珍しくもなんとも、、と今時の子であれば、思ってしまうのかも。この展覧会の一押しは、私はベルギーの新印象派の作品群だと思います。あとは、リュスなど、余り見るチャンスのない作家の展示もあり、ピサロやマティスの点描絵もありましたし、フォーブへの流れがきちっとおさえてあったのも美術史的に分り易いと思います。欲を言えば、印象派の筆触分割を発展させた点描法ですが、具体的にどう違うのか、分り易い解説があればよかったかなと思います。私なりにまとめてみると、

印象派の筆触分割は、
1.プリズムの7色を混色せず用いる
2. 黒色は排除
(3.戸外で描く)-これは筆触分割とは直接関係ないですが。

新印象派の点描法は
1.純色(彩度の高い色)を用いる
2.黒色は排除
3.補色同士を隣り合わせに置く事で色合いに輝きを増やす
(4.アトリエで描く)  - 印象派が戸外でささっと光を捉えることに苦心したのに対して、綿密な理論に基づいた点描を用いたため、アトリエでの細かい時間のかかる制作が必要。

そして、フォーブの色彩感に新印象派が影響を与えたという点も重要ですね。因に手持ちの古〜いオックスフォード西洋美術事典には、フォーブへの影響の事は記述されていませんでした。

あとテオ・ファン・ルイセルベルヘに代表されるベルギーの作家の作品は、人物画が多く、不思議にシュールな印象を与える作品が多かったです。今回は出品がなかったですが、ゴッホやゴーギャン、ロートレックも点描の影響を受けたらしいです。こういう技法にこだわった運動は、得てして技法ばかりが目立って評価されてしまう傾向があると思いますが、これはこれで希有な存在かと思いましたし、改めてグランドジャット島の本物が観てみたい(シカゴにあるらしいです。今回は出品ならず)と思ったのです。



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