20年ぶりの大きな回顧展、恩地孝四郎展へ

恩地孝四郎展 -形はひびき、色はうたう
2016.1.13 - 2.28まで 月曜休館

竹橋の東京国立近代美術館にて開催中の、恩地孝四郎展へ行って参りました。
恩地孝四郎展ちらし
恩地孝四郎展 形はひびき、色はうたう

恩地孝四郎(おんち こうしろう 1891-1955)東京出身。版画家、想定家、写真家、詩人。日本の抽象絵画の創始者とされ、創作版画の先駆者の1人とされ、日本に於ける版画の父。(一部wikiより)

様々な側面を持つ作家というのは、今や沢山存在していますが、恩地孝四郎はその先駆者の1人であったのではないでしょうか。この展覧会は、その様々な側面を(版画中心ではありますが)沢山の作品数を通してかいま見ることができる、すばらしい展覧会でした!恩地孝四郎については、時々、色々な場所で数点観るにとどまっており、20年ぶりの展覧会であったというこの機会にまとめて観る事ができ、とてもラッキーでした。(図録は完売しており、増刷のため注文制となる人気ぶりでした)


まず、大英博物館など、海外で収蔵されているコレクションが多いことに驚きます。個人的には、ホノルル美術館やドゥファミリーさんの所蔵してる作品がセレクションがよくて、いいな〜と思いました。版画は、木版中心です。中には、晩年期、紙版の創作版画もあり、紙版の創作版画がもう少したくさん観たかったです。刷り方1つで表情が全然違う作品になる版画。版木の展示もあり、展示作品リストの内容が大変充実しているのもすばらしかったです。

恩地の作品とは別に、個人的所感として、英語の翻訳タイトルの難しさを今回の展示でも感じました。「つきにひくかげ」(月映Ⅲ)は「Shadows in the Moonlight(TsukuhaeⅢ)」となっており、Tsukuhaeはよいとして、Shadows in the Moonlightか〜〜、、うーん、難しいけど、何かちょっと残念、、と。語の雰囲気、音、そういったものは翻訳不可能なのでしょうか。あと、恩地は、「Onchi Koshiro」と英訳されていますけど、本人は作品にONZIと全てサインしていますね。ONZIの方がかっこいいと私も思いました。

それから、西条八十の歌詞、独特のタイトルセンスですね。「小人の地獄」「時計屋の時計」とか、思わずかわいくて興味を覚えました。恩地の装丁にも、ぐっときました。

全体的に大変見所の多い展覧会でした。ただ、ポストカード販売が1点しかなく、そちらがとても残念でした。<抒情>「あかるい時」のポストカードが欲しかったです。

和歌山県立近代美術館に、2016.4.29-6.12まで巡回とのことです。