鏡と穴 - 彫刻と写真の界面vol.1 高木こづえ

馬喰町のムサビの画廊、αMにて開催中の高木こづえ展へ行ってきました。

鏡と穴 - 彫刻と写真の界面vol.1 高木こづえ「琵琶島
(光田ゆりキュレーションシリーズ)
ギャラリーαM (アルファエム)
〒101-0031東京都千代田区東神田1-2-11
アガタ竹澤ビルB1F
T 03-5829-9109 F 03-5829-9166
alpham@musabi.ac.jp

企画展の共通タイトル「鏡と穴 - 彫刻と写真の界面」の意味がまず分からない、と思って、チラシを読みました。「彫刻と写真」の意味は、写真(デジタルデータ)を物質に変換する(=プリントもそうですし、3Dで実体化させることも)ことを意味していて、この、物質に変換する部分を広い意味での「彫刻」と表現しているのかなと思いました。



高木こづえは、1985年生まれ、東京工芸大出身の写真作家です。2006年の、加工されたポートレート写真で、鮮烈なデビューを飾った、新進気鋭の作家です。

この上の写真は、撮影された写真を、photoshopなどで加工し(その加工は理屈をベースにしたものではなく、感覚的に施された加工だそうです)、さらにそれを、板に転写し、それをなぞって着彩していくことで仕上げた、油彩の作品でした。そしてそれをさらに写真に撮るそうです。「琵琶島」を最初に発表した当初は、油彩や、撮影の為に作られた(立体オブジェのような)衣装は展示していなかったそうですが、今回は、それを「彫刻」と銘打った展示のために展示することにしたそうです。


会場風景

大量のデジタル写真をコラージュや加工していった果てに、作家が見たイメージをさらに現実化することで、脱データ、物質化する、そしてさらにそれを写真に撮影することで再変換する、という展示かな?というのは、見てだいたい理解できるものでした。高木のイメージを操る自由でイキイキとした感性が伝わる、興味深い作品展です。ですが、チラシの解説が若干難解で、それが作品を逆にわかりにくくしているように思いました。

芸術は自由であるべきですので、写真も写真をベースにした作品も、自由であるべきというのが私の考えです。反対意見もあるとは思いますが、高木の、イメージの海を自由に泳ぐその心意気にエールを送りたいです。

私はこの後、近くのギャラリーハシモトで彫刻の展示ー青木野枝の作品展を見たのですが、その解説が一切ない、実直な「彫刻」作品を見たとき、「鏡と穴」展は、僭越ながら理屈が先行しすぎているように感じられました。このαMでの「鏡と穴」展は、連続7回の企画展だそうです。写真だけではなく、立体作家の展示もあるようです。この先の企画を連続して見ることで、急に腑に落ちたように納得できるかもしれない、そんな期待をしてみたくなる企画展でした。

イメージの魔術師、高木こづえ展、オススメします。

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