ソール・ライター展へ

Bunkamuraザ・ミュージアムにて開催中のソール・ライター、行ってきました。昨年、ライターのドキュメント映画「写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと」を観て、気にはなっていました。


ソール・ライターは、1923年アメリカ生まれの写真家です。

画家を志すも、生活のために長年、「ハーパーズ・バザー」「エル」誌などでファッション写真家として活躍しましたが、本人の情熱は商業的なファッション写真にはなく、引退後はマイペースに個展開催、日々絵を描き、近所をスナップする、という穏やかな日々をNYで送っていたのですが、83歳の2006年に、ドイツのシュタイデル社(世界一美しい本を作る男〜シュタイデルとの旅、というドキュメント映画にもなりました)より写真集「early color」が出版され、晩年にして一躍注目されることとなります。ついには、2012年、89歳の時に、前述したドキュメント映画も撮影もされ、翌年、90歳でこの世を去ります。ヴィヴィアン・マイヤーの写真作品の発見とともに、「埋もれていたアメリカ人作家発掘」の一連のブームの流れかな、と思っていたのですけど、ドキュメントに出てきた作品が結構好みだったので、かなり期待して展覧会へ行きました。

展覧会は、「ファッション」「ストリート」「カラー」「絵画」「ヌード」と5つにカテゴライズされ、この順番で展示されていました。ライターの作家人生を網羅的に紹介するのにはとても素晴らしい構成でしたが、個人的には、写真作品、特に個人的に撮りためていた作品にフォーカスした「写真作家ソール・ライター」としての展示が見たかったです。網羅的にしたことによって、写真作家としてのライター像が薄まって紹介されている感じで、彼の写真作品の衝撃が少ししか伝わってきませんでした。辛口になりすみませんが、個人的にはかなりがっかりしました。でも!ライター作品を知らない方には、ナビ派からの影響などがわかって興味深いかもしれません。個人的にはライターのNYのスナップ写真がとても好きです。今後は、スナップ写真だけの展示がどこかで観たいです。

ライターは、NYスクールと呼ばれる作家にカテゴライズされるそうですが、他の同世代のNYスクールのダイアン・アーバスやロバート・フランク(ちなみにBunkamuraル・シネマでフランクのドキュメント、上映中です)に比べて、注目されるのがこんなに遅れた理由は何かあるのか考えてみたのですが、何気ない自分の生活の周辺に写真の主題があり、写っている内容も衝撃的ではないため、もっとアクの強いアーバスやフランクの陰に隠れてしまったのでしょうか。でも、さりげなく日常を撮影するって結構今っぽいですよね。

ニューヨークが生んだ伝説 写真家 ソール・ライター展
公式サイト
Bunkamuraザ・ミュージアム
2017/4/29(土・祝)-6/25(日)
*5/9(火)、6/6(火)のみ休館
10:00-18:00(入館は17:30まで)
毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
巡回があります:伊丹市立美術館 2018年春(予定)

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