アルチンボルド展 - 国立西洋美術館へ

アルチンボルド(1526?-1593)は、イタリアはミラノ生まれ、神聖ローマ帝国、ハプスブルグ王朝で歴代の皇帝に仕えたマニエリスムの画家です。(日本では室町時代。同時代の作家には、ピーテル=ブリューゲルやダヴィンチなどがいます。)

アルチンボルドは、生物や静物を使った独特な肖像画で有名で、今までの私のブログの中でも、クエイ兄弟ピーター・ガブリエルのPVでアルチンボルドの肖像画をモチーフにした映像作品を作ったことに触れた事がありますが、現代でも大変人気のある作家だと思います。が、彼のユニークな肖像画は、当初、「宮廷内に嘲りの声あり」だったとグレゴリオ・コマニーニの本の中で触れられているように、100%受け入れられていた訳ではなかったようではありますが、時の皇帝に愛され、アルチンボルドは今で言うところの宮廷のアートディレクターの役割も果たしていたようです。具体的には、王の威光を皆に知らしめるための、プロパガンダとしての祝祭の演出家を務めたり、多忙な日々をウィーンにて送っていたようです。

私が最初に本物を見たのは、いつだったのかはっきり記憶にないのですが、2009年のだまし絵展(名古屋市美術館、Bunkamuraザミュージアム)で、ウェルトゥムヌス(ルドルフ二世)を見たことは確かなようです。その後、ウィーン美術史美術館で、「水」を見て、その同じ「水」をまた今回見ることができました。(珍しく図録を買っており、かつ処分せず保存されていたので、判明しましたが、、図録、ないしメモは大事ですね。)

「水」
まあしかし、春夏秋冬とよく揃いで展示できたなと。。
アルチンボルドは宮廷画家ですので、普通の肖像画も描いていたのですね。(下の作品は出品されていません)

「マキシミリアン二世とその家族」 1563

なんかフツーですよね?キラリとしたものがない。。

そして、全く見た事がなかったものの中では、下の作品が興味深かったです。

「司書」1566
キュビストの絵のようではないでしょうか??斬新です。当時にしたらものすごくアバンギャルドだったのではないかと。。。

他には、同時代の作家として、ダヴィンチのグロテスクなカリカチュアも展示されており、アルチンボルドよりもダヴィンチの方が先に、奇想絵の着想があったのではないかと書かれていましたが、奇想といえば、ヒエロニムス・ボス(1450-1516)の方が先だったのではないかと思いますが、どの辺の影響があったのかは、私には残念ながらわかりませんが、皆さんはどう思われたでしょうか?

最後に、今回は来なかったルーブル版の「秋」をどうぞ。
肖像画の周囲が装飾的な花で飾られていますね。ルーブルのものはこの花の縁飾りverのものがいくつかあるようです。



2017年6月20日(火)-9月24日(日)
国立西洋美術館[東京・上野公園]
月曜休み
公式サイト
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