熊谷守一 生きるよろこび展

熊谷守一 生きるよろこび展東京国立近代美術館で開催が本日終わりました。終了後のレポとなりましたが、感想を記録しておきたいと思います。

熊谷守一(くまがいもりかず 1880-1977 岐阜県生まれ)は、主に身近な題材をテーマに、明瞭な線で輪郭を描き、明るく、力強くも一見シンプルな構成の油絵で有名な作家、といえばいいでしょうか。


まとめて見たのは、今回が初めてでした。初期の作品からの展開が時系列で楽しめる、充実した良い展覧会でした。青木繁と、東京芸大で同期、師匠は黒田清輝だったそうです。

初めからシンプルな画風ではなかったのですね。色々な試行錯誤が見れてとれ、面白かったです。ちょっとマティスぽいような、、と思っていたのですが、やはりマティスを研究したというようなことが展示解説に書いてありました。そしてゴーギャン、セリジェ、ドランからの影響があったそうです。ドランの「ル・ペックを流れるセーヌ川」を参照して描いた「ヤキバノカエリ」(1956)が展示されていました。とまあ、色々あけっぴろげに見せられおり、その潔さがかえって清々しくていいかもしれないと思いました。当時の時代環境もあったでしょうし、「影響」ということで、良いのではないかと思いました。

面白いなと思ったのは、晩年をすごした、豊島区の家(現在、豊島区立熊谷守一美術館になっているそうです)の中からものすごく自然を観察していてそれを描いていて、まるで科学者のような視線を感じました。同じ主題を何回も描いているのも頷けました。守一は、晩年、家の敷地から一歩も出なかった、ただ1度だけ、家の外周を少しだけ歩いたらしい、と聞いてビックリしました。隠者のような晩年だったのかもしれません。その様子は、今年5月頃から、「モリのいる場所」という熊谷を描いた映画が公開されるので、そちらを見れば守一の生活が垣間見られるかもしれないですね。

展覧会公式サイト
豊島区立熊谷守一美術館
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