名作誕生-つながる日本美術 - 東博

世界で一番古い美術雑誌が日本で刊行されていることを皆さんはご存知でしょうか。その名は國華1889年(明治22年)岡倉天心により創刊された雑誌で、現在も刊行を続ける東洋美術の雑誌です。最新号のお値段は、7560円也!多分高級な印刷技術で作られているのだと思いますが、つるりとした質感の紙で、これが値段に見合ったものなのか、正直に申しますと、素人目にはわかりませんでした。気楽にお試し購入して、確認できる金額ではないですしね。いつかチャンスがあればじっくり拝読したいところです。



さて、この雑誌に今まで掲載されたことのある作品をもとにし、日本の美術が中国美術や様々な過去の作品からどのような影響を受けて日本美術が展開してきたのか、その変遷を、具体的に作品を並べて展示することで、いわば「証明」したり、または例えば若冲の「鶏」が自作の中でどのように描写変化していったか、いわば自己模倣の展開を、作品を実際に並べて「比較」したり、菱川師宣の「見返り美人」のあのポーズが、過去の他の日本画の中にも見受けられるものであることを、展示で「比較」したり等々。。わかりやすい例を挙げましたが、他にも普賢菩薩像の表現のされ方を、彫刻、絵画、書物から紐解いてみたりと、知らないこともたくさんあって、新鮮な驚きが見て楽しい展示となっていました。

第1章「祈りをつなぐ」ー主に仏像など
第2章「巨匠のつながり」ー雪舟と中国、若冲など
第3章「古典文学につながる」ー源氏物語、伊勢物語
第4章「つながるモチーフ/イメージ」山水、花鳥、人物、古今

この展覧会は、1人の作家、1つの流派や時代性を追う従来型の展覧会ではなく、テーマによって選ばれた作品が紹介されている点が新鮮でした。

観普賢経

さて、そんな展覧会のハイライトはおそらく、雪舟等楊のコーナーでしょうか。中国絵画から取り入れたものをどう発展させたのか。実際に、呂紀、玉澗の作品を並べて検討しています。また、後期(2018年5月8日〜27日)には、所在がわからなくなっていた雪舟の「倣夏珪山水図」が84年ぶりに発見され、東京で初めて公開されるのだそうです。

しかし、作家にとっては、結構苦痛な展示であるかもしれません。模倣した原本と並べられるのですから、と考えるのは現代的な考え方でしょうか。当時は、おそらく手本に習うということは悪いことではなく、むしろ当然のことであったでしょうから。

また、文学のコーナーでは、伊勢物語と源氏物語が出てきましたが、この2作は、作られた当時からすぐにいろいろな形で他の芸術にも影響を与えたそうです。100年もすれば、大和和紀のマンガ「あさきゆめみし」も並べられたりして、、と想像してしまいました。名作というのは、時代を超えて愛されるパワーがある、ということでしょうか。

等伯の「松林図屏風」が見たければGW中に行くのがオススメですが、まだ始まっていませんが、後期の日程が意外にオススメかもしれません。公式サイトでよくご確認の上お出かけください。

なお、音声ガイドは壇蜜さんでした!
彼女は、以前、日曜美術館で横浜トリエンナーレをレポするのを拝見しましたが、鋭い感性の人だな〜と思っていました。アート系と結構相性が良いのかもしれないですね。

今回購入したクッキー缶

今回購入したグッズは、第3章の「古典文学につながる」で展示されていた、伊勢物語をテーマにした、尾形光琳の「八橋蒔絵螺鈿硯箱」18世紀 のレプリカの缶入りクッキーです。これは東博のミュージアムショップの定番商品の1つのようです。クッキーも小さなものが入っていましたがどれも美味しかったです。


名作誕生-つながる日本美術
2018年4月13日(金) ~5月27日(日) 9:30~17:00
金曜・土曜は21:00まで、日曜および4月30日(月・休)、5月3日(木・祝)は18:00まで開館(入館は閉館の30分前まで)


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