シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝ー森美術館



猛暑の2024年、コロナが再流行の兆しを見せている中、9月1日(日)まで森美術館で開催されている、「シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝」展へ行ってまいりました。まず、「アフロ民藝」という造語、そして、展覧会チラシのビジュアルに心がグッと掴まれました。最近増えてきたUV印刷による高級感あふれるチラシで、ゲイツ氏の思索的な表情のポートレート写真も印象的でした。「『アフロ民藝』とは何を意味するのか?」と、考えつつ会場を進んでいくと、民藝とブラックムーブメントの説明、黒人の歴史、大量の書籍(実際に手に取れる)などの文化、歴史的な説明をベースに、シアスター氏が20年も前より度々通っている、六古窯の1つでもある常滑焼での作陶とブラックカルチャーとの融合を試みて『アフロ民藝』と作家自身が命名、作陶が彼のアートの重要な位置を占めることが伝わってきます。


会場を広々と使った展示は、比較的びっしりと展示しがちな日本人の感覚とは違い、アメリカ的な(またはアフリカ的な)アートの展示空間が日本より贅沢に用意されている国から来た作家感がすると思いました。木製の十字を思わせる平面作品などは、アメリカンミニマリズムを想起させる巨大さでした。

最後のエリアは、音楽が流れ、陶器ではなく硬質な光る素材のインスタレーションがターンテーブルのように回るチルな空間で、私が訪問した際には現代のアフリカンミュージックが流れていました。(私が訪問した時は、Benjamin Clementineの "Nemesis" や Jacon Collierの "Time Alone With You" などが流れていました。)「このインスタレーションを見ながら飲み物を飲んでくつろぎたいな・・」と思ってしまうほどのリラックス空間でした。"Think" と "Feel" が良い塩梅に交錯する展示で、そのバランスがこの猛暑も相まってか、印象に残る場所を作り出していたと思いました。 

アフリカンカルチャーやブラックムーブメントの歴史的側面について日本の美術館で説明をすることは現時点ではまだ必要なのかもしれませんが、そのうちそれらは認知され、説明がなくとももっとその先のことについて人々が語れるようになったら良いなと思いました。それは遠い未来ではなく、意外と近い将来ではないかと思わせる展示でした。
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