狂気を孕む美?手順を読み解くこともアート ソル・ルウィット「オープンストラクチャー」展へ
ソル・ルウィット(1928年-2007年)を見に東京都現代美術館へ行ってまいりました。公立美術館では日本初となる個展だそうです。ソル・ルウィットといえば、東京都国立近代美術館の常設に黒い壁に囲まれた特設展示室があり、そこで私は初めて知ったように記憶しています。学生時代に現代美術史の授業で習っていたかもしれませんが、同じ60年代米国のミニマルアートであればフランク・ステラがまず思い浮かんでしまうのですが、このソル・ルウィットの味わいはプレイフルといえばいいのか、または狂気と言ったらいいのか、または両方兼ね備えているのか・・・と煙にまかれるようで、画面を構成する厳格なルール(コンセプト)を知るとともに、いやこれは狂気かもしれないと思わせる作品です。そんな「繰り返しの強度」を持つ厳格さを絵画に持ち込んだのがソル・ルウィットの作品で、ステラの明るく力強い造形とは全く違う、繊細さと美しさを持ち合わせた作品を見ることができました。
上の写真は、右上にある写真が、左の拡大図です。ソルの「ドローイングシリーズ」の1つです。よく見ると、線がしかもある程度一定の長さで、重ならないようにびっしりと引かれているのです。狂気ですね。しかし、繊細で美しくもある・・これは繰り返しの細かなパターンなどが苦手な方には苦痛な展覧会かもしれませんね。会場には、ドローイングシリーズが三種類ほど展示されていましたが、どれもすごい密度で細かな線が引かれており気が遠くなりました。あなたならこの線を、1万本、あるいは、四方向の直線(垂直、水平、左上〜右下への対角線、右上〜左下への対角線)などの厳格なルールを間違わないように引くことができますか?私には無理だと思いましたが、友人にこの手の作業が大変得意な人がいることを思い出しました。曰く「無心になれる好きな行為」なのだそうです。
そして、これらの「ウォール・ドローイング」には制作手順が指定されています。会場の展示の多くがそのインストラクションの再現であり、ソル・ルウィット自身の手によるものではないのです。(国立近代美術館の作品も同じく、です)「アイデアは芸術を生み出す機械だ」という発想で、このインストラクションを読み解く行為そのものもアートであるという発想が隠されているのだとか。そう考えると狂気の沙汰の真奥に芸術の解放という思想的なものが立ち現れてくるようで、また見え方が変わってきます。
展覧会のフォントもよく見ると興味深く、RやWが特徴的です。
月休み(2月23日は開館、2月24日は休み)
東京都現代美術館


