2022年5月に見たもの

 1.Going Down The Rabbit Hole /髙田安規子 + 髙田政子@MA2 Gallery 2022.0521-6.25

双子姉妹によるアートユニットの「不思議の国のアリス」と「スケール」をテーマにした展覧会。一見少女趣味に陥りがちなテーマをうまく操ってまとめていたと思う。ギャラリーがうさぎの穴に落ちていくのとは逆に地上から上階に上がっていくというのが面白い。

2.Marriage / Oketa Collection 2022.04.28-7.3

建築模型展ー文化と思考の変遷ー/2022-04-28—2022-10-16

上記2展示とも、what museum 寺田倉庫にて。


作品管理で有名な寺田倉庫による展示施設での展覧会。Marriageはファッションで財を成した桶田夫妻の寺田倉庫に預けられた作品を展示するという趣向で、骨董もあるが主に現代美術の作品中心でした。目を惹く作品が多く楽しめる内容となっており、展示タイトルは「マリアージュ」ではなくもう少し違う視点でまとめた方が散漫な印象を与えなかったのではないかとも。

建築模型展は、戦国時代に実際に使われていた木製の城および周囲の模型が印象に残った。実際に城攻めにあった場合などのシミュレーションが行われていたようです。

寺田倉庫は近くに倉庫カフェがあり、そこでは若手作家の作品の展示販売が行われており、技法の紹介などをパネルにするなどして一工夫されていた。寺田倉庫は設営や作品運送も始めており、今後の動向が気になる企業の1つ。

3.光岡幸一「poetry taping」@NADiff Window Gallery vol.79 

キャノンの主催する今は亡き、写真新世紀に入選した作家による展示とのことで見始めたのですが、写真というよりは、インスタレーションなど、多様な展開を見せる若手の作家による展示でした。文字を描きそれらを写真に撮ることで作品化するという作家は今までにもいましたが、どうもこの作家はそれだけが目的ではなく、街を歩いた上でその場所で文字を描き、写真に撮るというプロセスを重視しているようです。しかも展示されているのは、扉の装置。それを鑑賞者が開けていいとのこと。建築->油画へ転身、そして写真新世紀?カオスの香りがぷんぷんしますが(笑)そのカオスの中から立ち上がる作家性が垣間見えたようにも思う。また、聞くところによると、「多摩川アートセンター」なる河川敷のギャラリーのようなものを立て、そこで展示活動などを行っていたとか。謎が深い作家で今後の動向が興味深い。

4.写真と絵画ーセザンヌよりー柴田敏雄と鈴木理策@アーティゾンミュージアム 

芸大先端の教師二人による、アーティゾン収蔵の名画とのコラボレーションを試みる展示。名画と写真を並べるとはこれまた危険な試み。マチエールのない写真と、どのような共闘を繰り広げるのか、正直写真が負けるだろうとしか思っていませんでしたが、意外に柴田の作品が力のある展開を見せており大変不思議な観賞体験でした。丁寧に展示空間が作られており、なかなか考えさせられる展示であった。

5.美の巨匠たちースコットランド国立美術館@東京都立美術館 2022.4.22-7.3

素晴らしい作品ばかりが来ており、ルネサンス以降の西洋美術史をざっくりとおさらいすることができる。英国人の好んだ絵画が何かという観点でみると、さらに面白い。それは必ずしも、人間だけを描いた絵画だけではなく、田園生活を愛した英国人ならではの、風景画も多く含まれるコレクションである点が特徴的と言えるのではないかと。

個人的にはラスキンの聖母(ジョン・ラスキンが所蔵していたというダヴィチの師匠、ヴェロッキオに帰属する聖母子の肖像画)が見れたのがよかった。美しい作品でした。

6.吉阪隆正展「ひげから地球へ、パノラみる」@東京都現代美術館 2022.3.19-6.19

ル・コルビジェの日本人三人弟子のうちの一人、吉阪隆正の建築人生を俯瞰する内容の展覧会でした。コンテンツが濃厚で、会場にぎっしりと埋め尽くされた展示物は圧巻の一言に尽きる。戦後から1980年代まで活躍し、多数の著書があり同世代の方にはきっと著名な文化人だったのだと思われます。今回はこの知の巨人を発掘し再紹介したという点が大きく意味があった展覧会だったと思うものの、今1つ、吉阪はこれだ!という特徴が伝わってこなかったようにも思います。さらなる紹介や展示を別の機会に期待したい。

他に、同じく現代美術館の井上泰幸展、Tokyo Contemporary Art Aword2020-2022 藤井光、山城知佳子展、都美セレクショングループ展「ものののこしかた」他。

意外と見に行くことができた5月でした。

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