小西真奈 Wherever - 府中市立美術館

 タイトルのWhereverとは、「どこで〜しても、どこででも」という意味で、小西真奈はコロナや子育ての制約の中、絵画を描くことでどこへでもいけるし、絵はどこででも描けると思ったためこのタイトルにしたと説明がありました。小西の大規模な初個展だそうです。筆者は彼女の風景画を見るのは3回目で最終日に、なんとか滑り込みで拝見することができました。終わってしまった展覧会のレポートで恐縮ですが個人的な記録として書きとめておこうと思いました。


展覧会は初期の作品から変遷を追う形の展開となっていました。風景画の作家と言われていますが、ところどころに人物画もありました。Alexという男の子の絵がたまに出てきたのですが、どうやら息子さんのことのようです。ところどころにそういった、「風景」だけではなく「私生活」を感じさせる小さめの作品が入っていて、親密さを感じさせる展示室でした。小西が描く景勝地も突き放した荒々しい自然としての風景ではなく、どことなく温かみのある風景に見えるのは、色使いのせいでしょうか。油を厚塗りにせずにライトなタッチで使っていることも関係しているのでしょうか。その辺は鑑賞者の想像によると思いますが、近作の作品群は「親密な風景画」に筆者には感じられました。

府中市美は撮影禁止のことが多いのですが、2024年の3月に上野で小西の個展「GARDENS」展を見た時は撮影OKでしたのでその時の写真を載せてみます。

「GARDENS」展より(2024年3月)

上の作品も展示されていましたが、今回とは並びが違いました。左の作品とセンターの作品が逆の並びでした。2点とも個人蔵だそうです。素敵ですね。私は一番左の作品と右端(今回のメインヴィジュアル)の作品を購入したいな、と想像して楽しませていただきました。

近作の作品は、さらに風景が解体されている・・というか、全てを描き切るのではなく想像の余地を残したタッチに変化していて驚きました。展示室の最後の部屋の初期の作品群は「人間がいる風景画」でしたが、次に人がいなくなり、今度は景色も解体されて行き、どこへ向かうのかな・・ もっと抽象化していくのかな・・と想像してみました。自分の模倣をせず、変化を受け入れ成長していく作家としてのあり方が素晴らしいです。今後の展開も拝見して行きたい作家の1人です。皆さんも機会があったら、彼女の作品を是非見てみてください。

以下の写真は撮影OKのエントランスにて。多分これは裏側かもしれません。光が透過して美しかったです。



2024年12月14日(土曜日)から2025年2月24日(月曜振休)
府中市美術館2階企画展示室

同時公開中の、「公開制作91」は小木曽瑞枝の半立体的な作品を見ることができました。ポスターで見た時から、その色合いと形の不思議さに目が釘付けでした。


ベニヤ合板をノコで切り抜いて、不思議な形を作り出す作品でした。作品背面にまるでライティングされているような赤い色が見えますが、これは作品の裏に塗られている蛍光性のアクリルのためだそうです。発光しているようで、とても不思議な感覚に陥りました。



平面ではなく、立体でもなく、遊び心が溢れる優しい作品でした。今後の作品も気になります。

2024年12⽉14⽇(土曜日)から2025年2月24日(月曜日・振替休日)

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