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美術批評・展覧会レビューのフリーライター/ブロガー。西洋・現代美術を中心に、社会的文脈をはじめ多視点からアートを読み解く記事を執筆。美術館での実務経験を持ち、アーカイブ・作品保存の視点からの執筆も得意としています。ライティング依頼・内覧会ご招待、お気軽にどうぞ。
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アルフレッド・ジャー「あなたと私、そして世界のすべての人たち」
オペラシティ・アート・ギャラリーで開催中のアルフレッド・ジャー「あなたと私、そして世界のすべての人たち」、まず、この展覧会は今、見るべき展覧会であると断言できます。以下多少のネタバレありなので、興味がある方は読まずにまっさらな状態で行くことをお勧めしたいです。
アルフレッド・ジャーはチリ生まれ、アメリカで活動する1956年生まれの男性作家です。日本で大きく紹介されるのは2019年のあいちトリエンナーレ、2023年のヒロシマ賞受賞での展覧会以来でしょうか。まず、ポスタービジュアルがとても目をひきます。作家について何も知識がないと「レディメイド」を組み合わせるコンセプチュアル・アートの一種かと思ってしまうかもしれませんが、会場を一部屋一部屋歩き進めるごとに、じわじわとそこに込められた政治的な風刺やインスタレーションの美しい秀逸さに魅せられていきます。極め付けが最後の部屋にある2つの「映像」作品です。写真撮影禁止でしたので、SNSなどにも流れていないと思いますが、この映像が白眉でした。「サウンド・オブ・サイレンス」「ヒロシマ、ヒロシマ」の2作ですが、特に「サウンド・オブ・サイレンス」は英語版と日本語版と上映時間が違うので是非、日本語話者の方は日本語でご覧ください。少しネタバレになりますが、私はこのサウンド・オブ・サイレンス」の話は、1980年の新宿西口バス放火事件を撮影した報道カメラマン、石井善治の話を思い出させ、写真撮影における倫理について深く静かに訴える作品だと思いました。「ヒロシマ、ヒロシマ」は本当にびっくりさせられました。でも何故びっくりしたかは書かないでおきます。解説パンフも読まずに初見で見ることを強くおすすめします。
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| 『1973年9月11日(黒)』, 1974年, ピグメントプリント |
さて、話が前後しますが、展覧会の最初の部屋では初期のコンセプチュアルな作品が数々並んでいました。上のカレンダーの作品を最初に見た時私は何の意味があるのか全くわかりませんでした。ただ、1973年の9月11日で日付がおかしなことになってるな・・・くらいで、しかし何故11日が永遠に続いているのかまではわかりませんでした。これは、リーフレットを見なくては答えがわからない人が多いのでは思いますが、チリが軍事クーデターによりピノチェト政権が樹立された日なのだそうです。正しい日付を表さないことで、あることを暗示する、しかも9.11というのは東日本の震災があった日でもあり、別の思いも巡らせることもできそうです。ジャーの初期の作品はこの作品のように、コンセプチュアル・アートが流行していた時代の雰囲気を大いにまとってはいますが、次第にその軸足を「社会批判」へ移していき、より大きな装置による映像を含んだインスタレーションへ移行しているように思いました。そしてそれはそのまま、70年代からの現代に至る、コンテンポラリーアートの1つの潮流であると思いました。
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| 『アメリカのためのロゴ』, 1987年, ピグメントプリント |
初期、中期、そして近作とジャーの作家人生の変遷を見てたどれる展示です。強くお勧めします。


